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産業用電力料金7~25%引き上げ、TSMCが3ナノ値上げか【図表】(トップニュース)/台湾


ニュース 公益 作成日:2024年3月25日_記事番号:T00114406

産業用電力料金7~25%引き上げ、TSMCが3ナノ値上げか【図表】(トップニュース)/台湾

 経済部は22日、4月1日から電力料金を平均11%引き上げ、うち工場など産業用電力料金の大口使用者は条件付きで15~25%引き上げると発表した。半導体や液晶パネルなどの電子産業や、鉄鋼やセメント、石油化学などの従来型産業が対象となる見通しだ。ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、電力料金が25%引き上げられ、先進製造プロセスの3ナノメートルと5ナノメートルの受託生産価格を値上げするとのうわさが浮上している。25日付電子時報などが報じた。

/date/2024/03/25/00tpc_2.jpg経済部の林全能・常務次長は22日、以前、国際燃料価格が大幅に上昇し、世界各国が電力料金を引き上げた際に、台湾では物価安定のために、電力料金の引き上げ幅を抑制していたと説明した(22日=中央社)

 2年連続で電力使用量が増え、年間5億キロワット時(kWh)を超える産業用電力料金の大口使用者は、電力料金が15~25%引き上げられる。

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 TSMCの22年のESG(環境、社会、ガバナンス)報告書によると、TSMCの22年の電力使用量は210億8600万kWhで、台湾全体の電力使用量の7.54%を占めた。年間150億kWh超のため、4月から電力料金が25%引き上げられる見通しだ。23年は3ナノ量産で電力使用量が2割増えており、今年の電力使用量は200億~300億kWhを超えるとみられている。電力使用量が150億kWhなら電力料金は127億台湾元(約600億円)増え、200億kWhなら電力料金は169億元増える計算だ。

 TSMCは22日、エネルギー政策には従うが、長期的な財務目標は変更はないと説明した。23年の再生可能エネルギー使用率は12%で、全世界で使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替える目標だ。

 TSMCの受託生産価格は2万米ドル近い。半導体業界関係者は、TSMCは価格交渉力が強いため、コスト上昇分を価格に転嫁できると予想した。

半導体の競争力変わらず

 ファウンドリー大手、聯華電子(UMC)は、海外にも工場があり、影響は限定的だと説明した。

 ファウンドリー、力晶積成電子製造(パワーチップ・セミコンダクター・マニュファクチャリング、PSMC)は、電力料金が15%引き上げられれば、支出が10~12%増えると試算結果を説明した。22年の電力使用量は11億9600万kWhだった。黄崇仁(フランク・ファン)董事長は、台湾の電力料金は安く、日本の半分以下で、半導体産業の競争力を削ぐことはないと語った。

 TSMC傘下のファウンドリー、世界先進積体電路(VIS)は、今年の電力料金は前年比10~12%増える見込みで、粗利益率が0.5~1ポイント押し下げられると予測した。22年の電力使用量は9億4600万kWhだった。

鉄鋼やセメント、値上げ困難

 投資コンサルティング会社、元大証券投資顧問は、電子産業はほぼ電力料金が12~15%引き上げられ、特に電力使用量が多い設備を使用する半導体製造、パッケージング・テスティング(封止・検査)、メモリー、液晶パネル産業などは影響が大きいと分析した。

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 従来型産業では、電気炉で鉄鋼を生産する鉄鋼メーカーは電力料金がコストの10%を占め、セメントメーカーは15%を占めており、影響が大きいと指摘した。元大証券投資顧問は、試算によると、鋼材を1トン当たり180~230元値上げ、セメントを1トン当たり40~50元値上げすれば、相殺できるものの、市場の需要が回復しておらず、値上げは困難との見方を示した。

 

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