パリ五輪は現地時間10日、ボクシング女子57キログラム級の決勝が行われ、性別適格性騒動の渦中にある林郁婷・選手（リン・ユーティン、28歳）がポーランドのユリア・シェレメタ選手（20歳）と対戦し、5対0の判定勝ちで、金メダルに輝いた。台湾ボクシング界で初めての金メダルだ。今大会で台湾勢が獲得したメダルは、金2個、銅5個の計7個で、2021年の東京五輪に次ぐ、過去2番目の数となった。12日付中国時報などが報じた。

念願の金メダルを獲得した林・選手は、思わず涙をこぼした（11日＝中央社）

　林・選手は試合後のインタビューで、表彰台で涙を見せたことについて「これまでの努力が、走馬灯のように浮かび、感極まった」と述べた。（五輪で金メダルをとるという）長年の夢を達成したことが、いまだに不思議な感じがすると語った。応援してくれた台湾人やボクシングファンに何度も感謝の意を示し、これからは女子ボクシングの発展に尽くしたいと語った。

林・選手（赤いユニフォーム）は試合終了後、コーチを務めた曽自強氏（中後）を背負い、「コーチがいなければ、今の林郁婷はいない」と感謝を述べた（11日＝中央社）

　台湾時間11日未明の試合を緊張しながら見守っていた林・選手の母親は、「15年間よく頑張った。空港まで迎えにいき、抱きしめてやりたい」と語った。家庭内暴力を受ける母親を守るためにボクシングを始めたという林・選手は、母を驚かせないようにあまり連絡しておらず、台湾に戻ったら、じっくり話がしたいと述べた。

林・選手の母親（前）は、娘の好物のデザートを用意して出迎えたいと語った（11日＝中央社）

　頼清徳・総統は11日、林・選手とボクシング女子66キロ級で銅メダルを獲得した陳念琴・選手（27歳）に、ビデオ通話で祝意を伝えた。林・選手に対し、いわれなき攻撃を受けても、コーチに支えられながら15年間積み重ねた実力を証明し、台湾を世界に知らしめたとたたえた。

　林・選手は、国際ボクシング協会（IBA）主催の昨年の世界選手権で、性別適格性検査で失格処分を受けていた。国際オリンピック委員会（IOC）のトーマス・バッハ会長は11日、林・選手とアルジェリアのイマネ・ヘリフ選手（66キロ級金メダル）は出場資格を満たしていると改めて説明した。バッハ会長は、来年6月の任期満了を持って退任する意向を示した。

パリ五輪、閉幕

　17日間に渡ったパリ五輪の閉会式が現地時間11日夜に行われ、林・選手と、陸上男子の楊俊瀚・選手が台湾選手団の旗手を務めた。

パリ五輪の閉会式で、林・選手（左2）と楊・選手（左2）が台湾選手団の旗手を務めた（12日＝中央社）

　台湾勢は今大会、金2、銅5の計7個のメダルを獲得した。ボクシングが金1、銅2の計3個で最も多かった。金メダルを獲得したバドミントン男子ダブルスの李洋（28歳）・王齊麟（29歳）のペアは、史上初の連覇を達成した。ウエイトリフティング（重量挙げ）女子の郭婞淳・選手（30歳）が台湾初の五輪3大会連続メダル獲得、台湾初の射撃のメダル獲得などの記録を残した。

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