半導体業界の国際展示会、国際半導体展（セミコン台湾）がきょう4日開幕し、生成AI（人工知能）やハイパフォーマンス・コンピューティング（高性能計算、HPC）需要で、シリコンウエハー上に光学素子を実装するシリコンフォトニクス（SiPh）技術が注目される中、SEMIシリコンフォトニクス産業連盟（SiPhIA）が3日、発足した。ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造（TSMC）や半導体パッケージング・テスティング（封止・検査）最大手、日月光投資控股（ASEテクノロジー・ホールディング、ASEH）の呼び掛けで、国際半導体製造装置材料協会（SEMI）や企業30社が加盟した。SEMIは、2030年にシリコンフォトニクス半導体の世界市場規模は78億6000万米ドルまで拡大し、年平均成長率（CAGR）は25.7％になると予想した。4日付工商時報などが報じた。

　加盟企業は、TSMCとASEH、SEMIのほか、▽工業技術研究院（工研院、ITRI）、▽IC設計最大手、聯発科技（メディアテック）、▽電子機器受託製造サービス（EMS）最大手、鴻海精密工業（ホンハイ・プレシジョン・インダストリー）、▽液晶パネル大手、友達光電（AUO）、▽ノートパソコンやAIサーバー受託生産大手、広達電脳（クアンタ・コンピューター）──など30社以上で、IC設計やIC製造、封止・検査から、最終製品まで網羅する。知識や資源、技術を共有して、台湾でシリコンフォトニクスのエコシステムを構築する。目標は、技術のブレイクスルー、サプライチェーン（供給網）の関係強化、業界標準の制定だ。

物理限界を突破

　SEMIの曹世綸・台湾区総裁は、シリコンフォトニクスはムーアの法則（半導体の集積密度は18～24カ月で倍増する）突破の鍵となる技術とされ、台湾の半導体産業はシリコンフォトニクス分野でリードできると語った。

　ASEHの呉田玉・営運長（COO）は、AIの普及で、シリコンフォトニクス時代が予想より早まったと語った。シリコンフォトニクス技術は、半導体の物理的な限界を突破できる可能性があり、台湾の半導体商機を拡大させると予想した。

消費電力を削減

　TSMCの徐国晋・研究発展副総経理は、AI演算やデータ伝送の需要が高まり、低消費電力化が課題となる中、シリコンフォトニクスの重要性が高まっていると指摘した。30年にAIクラウドサービスは世界のエネルギーの3.5％を使用すると予測されるが、シリコンフォトニクスとコパッケージド・オプティクス（CPO、光学部品と半導体チップを同じパッケージ基板に実装する）技術で、消費電力を削減できると語った。

　業界関係者は、生成AIサーバーは大量のデータを高速で演算処理しなければならず、シリコンフォトニクスを3次元集積（3D IC）化すれば、データ転送速度を10倍に高速化できると指摘した。

　TSMCは今年4月の米国での技術フォーラムで、シリコンフォトニクス技術「COUPE（コンパクト・ユニバーサル・フォトニック・エンジン）」を研究開発（R＆D）している段階で、25年に小型プラグインコネクターの認証を終え、26年に先進封止「チップ・オン・ウエハー・オン・サブストレート（CoWoS、コワース）」を統合したCPOを導入する予定と説明していた。

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