政府が景気後退(リセッション)入りを宣言した。行政院主計処は20日、今年第3四半期の経済成長率がマイナス1.02%に落ち込んだと発表、マイナス成長は来年第1四半期まで3四半期連続で続くという見通しを示した。また、来年通年の経済成長率は従来予測の5.08%を、一気に2.12%まで下方修正した。政府は4年4,000億台湾元(約1兆1,500億円)規模の公共投資や、「消費券」による内需刺激策によって来年下半期からの景気回復を目指す考えだ。
主計処発表の経済成長率予測は、今年第4四半期がマイナス1.73%、来年第1四半期がマイナス0.31%だ。石素梅主計長は「2四半期以上連続で経済成長率がマイナスに落ち込む場合」という国際通貨基金(IMF)の景気後退の定義を紹介しつつ、「今回の台湾のケースに当てはまる」と景気後退入りを認めた。今年通年の成長率は、従来予測の4.3%を1.87%に下方修正した。
来年については、第2四半期に1.05%のプラス成長を回復し、第3四半期は3.79%、第4四半期は3.9%と3%台後半の成長率を維持するという予測を示した。
馬総統が謝罪
馬英九総統は20日、中天電視(CTI)とのインタビューで、「世界的な景気低迷の中、来年の経済成長率は3%を上回ることさえ正直困難な状態だ。選挙公約では6%を掲げたが力及ばずお詫び申し上げる」と謝罪の意を表明し、今後も必要な努力を重ねていくと強調した。
来年の経済成長率は、政府の景気てこ入れ策で0.53ポイント、中国人観光客1日3,000人の訪台で0.5ポイントの引き上げを見込んでいるが、主計処第三局の蔡鴻坤局長は、「これらの結果によっては達成は難しくなる」という厳しい認識も示した。20日付工商時報は、今年5月に決定した583億元規模の内需拡大案が、「年末までにすべて完工」という目標を掲げながら現段階で6割の発注率にとどまっている例を挙げながら、「政府が景気対策を効率的に執行できるかが成否の鍵になる」と指摘した。
輸出減少、黒字は拡大へ
台湾経済は外需への依存度が高い。だが主計処の予測によると、来年の輸出総額は今年比9.59%減の2,412億米ドルと、IT(情報技術)バブルが崩壊した2001年(16.87%減)に次ぐ下落幅が見込まれている。ただ、輸入総額が14.78%減(2,118億米ドル)の大幅悪化が見込まれているため、貿易黒字額は過去最高を記録すると予想されている。
民間投資、過去最悪の低迷
主計処によると、第3四半期の民間消費成長率はマイナス1.97%となり、通年でもマイナス0.31%と初の下落に転じる見通しとなった。来年は消費券の支給などで1.86%のプラス成長に引き上げられるとしている。
第3四半期の民間投資成長率は、企業による設備輸入の大幅減(台湾元ベースで18.68%減)、および建設工事の減少で、マイナス11.51%を記録した。これで過去最長となる6四半期連続のマイナス成長となったが、回復に向かうのは来年第4四半期という予測で、長く暗いトンネルから抜け出せるのはまだ先のようだ。