スポーツジム大手の「ワールドジム」を台湾で運営する世界健身実業（ワールドジム台湾）は28日、米国の親会社、ワールドジムインターナショナル（WGI）の株式100％を900万米ドルで取得したと発表した。ジョン・カラッチョ董事長兼総経理は、世界でのワールドジムブランド使用権と、フランチャイズ加盟店（FC）のロイヤリティーを得ると説明した。今後2年はアジアを中心に年30〜50店出店し、長期的に世界で直営店500店、加盟店2000店を目指す。29日付工商時報などが報じた。

ワールドジム台湾のカラッチョ董事長は、毎日、台中市のワールドジム西屯店で汗を流しているという（28日＝中央社）

　ワールドジムは台湾に直営店が130店あり、会員は45万人。加盟店は▽オーストラリア、49店、▽米国、32店、▽カナダ、27店、▽エジプト、11店、▽ブラジル、10店、▽メキシコ、9店──で、世界に271店、会員は90万人だ。

　カラッチョ董事長は、海外拠点は半分以上がシェア10％未満で、成長の余地があると述べた。特にオーストラリアは人口や所得が台湾と近く、成長が期待できると語った。加盟店のロイヤリティーは年間350万〜400万米ドル、営業利益率は50％と試算している。

　海外の直営店は、東南アジアなどアジアを優先し、まず子会社を設立し、市場調査を行い、現地の法律を理解してから、人材を募集し、育成する。カラッチョ董事長は、ワールドジム台湾のシステムを海外に移植したいと語った。

　一方、北米、南米、欧州、中東とアフリカは、加盟店方式を採る。カラッチョ董事長は、WGIが既存店がある市場以外でも、加盟店の交渉中だと語った。今後2年は年30〜50店を増やし、加盟店のネットワークができれば、年100店ペースに上げると語った。

　カラッチョ董事長は、台湾では人口6万人以上のエリアに、来年は15店、26年は18店出店し、M＆A（合併・買収）の対象も探すと語った。

■台湾のジム人口、5％未満

　ワールドジムは1976年、ボディビルダーのジョー・ゴールド氏とアーノルド・シュワルツェネガー氏が共同で、米カリフォルニア州のベニスビーチ（通称「マッスルビーチ」）で開業した。80～90年代は米国や海外で店舗を増やし、2001年に台中市で台湾1号店を出店した。05〜08年に台湾ローカルのスポーツジム買収で、拠点を増やした。10年には台北101ビルに高級ジム「ワールドジム・エリート」をオープンした。

　現在、▽月額制で使い放題の総合型ジム「ワールドジム」、▽月額588台湾元（約2800円）の小規模ジム「ワールドジム・エクスプレス」、▽心拍数トレーニングの予約制クラス「FITZONE」──などのブランドを運営している。

　ワールドジム台湾は、従業員は8000人。上半期（1〜6月）の連結売上高は前年同期比5.05％増の47億9980万元で、純利益は41.69％増の2億2820万元だった。今年1月に台湾株式市場に1株132元で上場した。最近の株価は90元前後で推移している。

　ワールドジムのライバルは、柏文健康実業（パワー・ウィンド・ヘルス・インダストリー）が運営する「健身工廠（フィットネスファクトリー）」で現在78店。ワールドジムと合わせ、大手2社でシェア80％以上を占める。このほか、小規模ジムや、県市政府が運営する公共のスポーツ施設、国民運動中心（スポーツセンター）などがある。コロナ禍は落ち込んだが、ここ2年は回復しており、7月のパリ五輪開催で、市民の運動意欲も高まっている。台湾のフィットネスジム人口は5％に届かない。米国のフィットネスジム人口20％と比べると、成長の余地がありそうだ。

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