来月15日に予定される中台間の空海貨物直航便の就航を前に、業界から実質的効果に疑問の声が上がっている。空運では中国からの貨物の第三国・地域への積替え輸送が認められるかは未定で、海運でも中国から他の地域への積替えを制限する方針が示されているためだ。積替え業務が認められなければ、貨物輸送量の大幅な拡大は望めず、早くも「直航は単なる形だけの意味しかない」という失望の声が出ている。27日付工商時報が報じた。
「法整備で明確化を」
台北市航空運輸同業公会の蘇宏義理事長によると、今月4日の中台協議で決定したのは「両岸貨物」の輸送で、中国貨物の台湾での積み替えの可否については、現在に至るまで行政院大陸委員会(陸委会)および交通部は明確な回答を示していない。
長栄航空(エバー航空)幹部は、「協議文書中には、航空貨物チャーター便について、『両岸(中台)の航空会社による共同経営方式を採用する』とあり、すなわち、対岸(中国)の会社と提携すれば積替え業務が可能」という見方を示している。
しかし、中華航空(チャイナエアライン)幹部は、「共同経営と積替え業務は無関係と理解しており、協議の内容を文面通りに受け取れば、扱いが可能なのは中台間の貨物のみで、第三国向けの貨物は開放されないという最悪の事態となる」と危機感を語る。
ある航空貨物フォワーダーも、「積替え貨物の輸送が認められないのであれば、直航便開放の意義は失われる」と指摘しており、「大陸側にとっても積替え貨物を制限する理由はない。政府は速やかに業務可能な範囲を明確にすべきだ」と提言している。
中国が対抗措置なら損失深刻
一方、海運直航便について基隆港務局員は、「台湾側の生存空間を確保するため、台湾から輸送された貨物を中国で積替えることはできない」との説明を行っている。
この件に関して華岡船務の洪清潭董事長は、「大陸側の了解を得られていないのであれば、このような制限は大陸側に対抗措置を招く」と懸念を表明した。その上で、「外国船舶会社の母船が台湾に来なくなることを心配しているのであれば、積替えにかかわる料金を下げるなど港湾の競争力を高める方向で努力すべきだ」と指摘した。
海運同業者組合の関係者も、「大陸から貨物輸送量は、台湾から大陸へ向かう貨物よりも圧倒的に多く、もし台湾が大陸での積替え業務を制限して、大陸側も台湾での積替えを禁止することになれば、その損失は埋め合わせできないほど大きなものになる」と指摘した。
また、中華民国輪船商業同業公会全国聯合会の王龍雄理事長は、「国際的な大手船舶会社はすべて高雄港に専用埠頭(ふとう)を借用しており、大陸での積替えを制限する必要はない」と語っている。