ニュース 電子 作成日:2024年12月5日_記事番号:T00118983
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日夜、「非常戒厳」を宣言し、6時間後の4日早朝に解除したものの、テック業界では、政治不安から、主に韓国のSKハイニックスやサムスン電子が供給している人工知能(AI)半導体のHBM(高帯域幅メモリー)の生産が懸念され、米メモリー大手、マイクロン・テクノロジーに注文が切り替えられる可能性があるとみられている。そうなれば、マイクロンのサプライチェーン(供給網)で、IP設計会社の創意電子(グローバル・ユニチップ、GUC)などの受注が増加するとの見方が出ている。5日付工商時報などが報じた。
ペガトロンの童・董事長は4日、韓国の政治と経済が早く落ち着くことを願うと語った(4日=中央社)
HBMは、AIサーバーに不可欠な部品で、主にSKハイニックスやサムスン電子、マイクロンが生産している。
SKハイニックスのHBMの月産能力は12万5000~13万枚で、歩留まり率でリードしている。韓国の非常戒厳は短時間だったので、HBM供給への影響は限定的だが、韓国の政治リスクを考慮し、韓国で生産するSKハイニックスやサムスン電子から、米マイクロンに発注先が切り替えられる可能性がある。マイクロンはDRAMの65%を台湾で生産している。
マイクロンのサプライチェーンは、▽IP設計会社、創意電子、▽半導体用シリコンウエハー大手、台塑勝高科技(フォルモサ・サムコ・テクノロジー、台勝科、FST)、▽クリーンルーム大手、漢唐集成(UIS)、▽マイクロンのHBMのウェットプロセス装置を手掛ける弘塑科技(グランド・プロセス・テクノロジー)──など。
■DDICも転注か
韓国のサムスンのシステムLSI事業部とLXセミコンは、ディスプレイ駆動IC(DDIC)の世界市場シェア50%以上を占めている。
業界関係者は、顧客がリスク分散のためサプライヤーを見直し、台湾メーカーの有機EL(OLED)ディスプレイ駆動ICの受注が増える可能性があると指摘した。
また、サムスンのスマートフォンの代わりに、中国のスマホブランドが台頭すれば、瑞鼎科技(レイディウム・セミコンダクター)などのディスプレイ駆動ICの受注が増加するとも予想されている。
■ペガトロン董事長、様子見
半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手、日月光投資控股(ASEテクノロジー・ホールディング、ASEH)は4日、韓国の生産拠点は通常通り業務を行っていると説明した。
工作機械部品大手、上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)も4日、韓国拠点の従業員は通常通り出勤しており、業務も通常通り行っていると説明した。
電子機器受託生産大手、和碩聯合科技(ペガトロン)の童子賢・董事長は4日、韓国の非常戒厳は6時間で終わったので、一時的な事態とみられるが、長期的に世界経済に深刻な影響を与えるかどうかは、今後の観察が必要と語った。
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