支柱下部の土砂流出により、開通後15カ月で運転停止に陥っている台北市の猫空ロープウェーについて、これまで支柱の移転は避けたいという姿勢を示してきた郝龍斌台北市長が2日、一転して「台北捷運公司に対し支柱からのケーブル除去を指示し、楊錫安・市政府秘書長を移転先の調査に派遣する」と表明した。3日付自由時報が報じた。
土壌流出により補強作業が行われる猫空ロープウエーの16号支柱。長期運休は決定的で、周辺の観光業者からはため息が漏れそうだ(中央社)
問題となっている支柱については、先ごろ台北市の4大建築技師組合が「移転を優先的に検討すべき」との鑑定結果を公表していた。また郝市長は、前市長で在任中に同ロープウエー建設を推進した馬英九総統と電話で話し合い、総統が「専門家の意見を尊重し、現地住民の安全を最優先すべき」との考えを示したことから翻意したとみられる。
台北市では、「支柱の移転は早ければ1年半で完了する」としているが、専門家からは「T16号を移転させるとなると、同一線上の支柱4、5本も移転する必要があり、少なくとも2年はかかる」という見方も出ている。
また、民進党の荘瑞雄市議らは、馬総統が市長時代に業績を上げるため、支柱設置場所の選定時に綿密な地質調査を行わず工事を急がせたことが、今回の運転停止につながったと強く批判している。