宏碁(エイサー)は来年2月、初の自社ブランドスマートフォンを発表する。同社は「スマートフォン市場は世界全体で生産額2,000億米ドルと、パソコン(PC)市場に匹敵する規模に成長し、今後5年間は当社の成長に貢献できる」と強い期待を寄せている。5日付蘋果日報などが報じた。
エイサーは、来年2月16~19日にスペイン・バルセロナで開催される、世界最大規模のモバイル関連製品展示会「Mobile World Congress(モバイル・ワールド・コングレス
)2009」(旧名称:3GSM World Congress)に自社ブランドのスマートフォンを出展する。発売は来年下半期の予定で、通信事業者と提携して展開する。
同社は当初、今年末から来年初頭にかけてのスマートフォン発売を予定していた。計画が遅れている原因について王振堂董事長は、「完ぺきな製品を発表して高い評価を受けたいためだ」と語った。また、大手通信事業者との交渉も関係しているとした。
エイサーのスマートフォンを担当するのは、昨年9月に買収して100%子会社となった、スマートフォンおよびPDA(携帯情報端末)の倚天資訊の携帯電話チーム。3月に230人だったメンバーは現時点で500人余りにまで増強され、エイサーの携帯電話事業部に組み込まれた。同事業部のかじ取り役は、昨年買収したパッカード・ベルのアイメール執行長だという。なお、倚天資訊のブランド「glofiish」の使用は来年第1四半期までで、今後は携帯電話すべてをエイサーブランドで統一する予定だ。
王董事長は、倚天資訊の携帯電話の販売台数は今年、昨年の2倍となる見通しで、来年はさらに倍増させるという強気の目標を示した。
資訊工業策進会市場情報中心(MIC)の11月末の予測によると、スマートフォンは米アップルの「iPhone 3G」や宏達国際電子(HTC)の「HTC Touch」シリーズなどの人気によって、世界携帯電話市場に占める割合が、今年の12.7%から来年は16.4%に、2012年には28.5%まで拡大する見通しだ。
ノートPC、来年3割成長目標
王董事長によると、ノートPCがデスクトップ型に取って代わる傾向、および低価格ノートPC(ネットブック)が通信事業者との提携による販促キャンペーンで好調なことから、来年のPC市場は15~20%の成長が見込める。エイサーはそれを上回る25~35%成長を目指すという。
エイサーの業績は依然成長が続いているもようで、王董事長は「今の時期、好調と口に出すと、周りからたたかれてしまう」と暗に認めている。アナリストの予測では、11、12月の売上高も前年同月比で50%を超える成長となり、単月で500億台湾元(約1,400億円)以上の高水準を維持できる見通しだ。