ニュース 電子 作成日:2025年5月15日_記事番号:T00121684
電子機器受託製造サービス(EMS)最大手、鴻海精密工業(ホンハイ・プレシジョン・インダストリー)の劉揚偉・董事長は14日の業績説明会で、2025年通年の業績見通しを「力強い成長(15%以上)」から「顕著な成長(4~15%)」に下方修正したと述べた。人工知能(AI)サーバーの出荷成長に自信を示しつつ、米国の関税政策や地政学的リスク、為替が世界景気に影響する可能性があると説明した。15日付経済日報などが報じた。
劉・董事長は、4~5年前から現地生産を進め、世界223カ所に拠点があり、現時点で販売数量の見通しに大きな変化はないが、為替の影響で台湾元換算の売上高に影響が出る可能性があると説明した。25年通年の見通しについて台湾元建ての売上高見通しを「顕著な成長」へと下方修正したが、米ドル建ての売上高見通しには変更がないと述べた。
黄徳才・財務長(CFO、最高財務責任者)は、台湾元の年平均レートが1元上昇すると、鴻海の売上高は3%減少し、粗利益率は0.1ポイント下がると説明した。
■AIサーバー、1兆元超へ
鴻海の第1四半期(1~3月)の連結売上高は前年同期比24%増の1兆6443億台湾元(約8兆円)、純利益は91%増の421億元で、いずれも同期として過去最高だった。
4月の売上高に関して劉・董事長は、グラフィックスプロセッサー(GPU)大手の米エヌビディアの最新チップ「GB200」搭載サーバーの大量出荷を開始しており、AIサーバーの出荷量は四半期ごとに増え、今年のAIサーバーの売上高は1兆元を突破するとの見通しを示した。
第2四半期(4~6月)の業績見通しについて劉氏は、関税政策の変化が激しい上、為替変動もあり、慎重な見方だが、前期や前年同期と比べると大きく上回ると予想した。うち、クラウドネットワーク製品は力強く成長し、部品やその他製品も顕著に成長、コンピューター製品は横ばい、消費者向けスマート製品はわずかに減少すると見通しを示した。
■サウジアラビアに意欲
劉・董事長は、中東でのAIプロジェクトに参加したり、クラウドサービスプロバイダー(CSP)からのASIC(特定用途向け集積回路)サーバー受注を獲得する可能性があると述べた。
中東でのAIプロジェクトについて劉・董事長は、サウジアラビアで長年にわたり事業を展開しており、現地企業と合弁で電気自動車(EV)事業を進めていると説明した。鴻海傘下の鴻騰精密科技(フォクスコン・インターコネクト・テクノロジー、FIT)も現地企業と協力して充電設備の事業を進めており、サウジアラビアでは情報通信技術(ICT)関連の案件も進んでいることを明らかにした。
劉董事長は、EV事業で三菱自動車へのOEM(相手先ブランドによる生産)供給で合意したことにも言及した。今後、三菱自動車以外の日本の自動車メーカーとも連携したいと語った。
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