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アジア初の原発ゼロ実現、火力発電増加に不満の声も【図表】(トップニュース)


ニュース 公益 作成日:2025年5月19日_記事番号:T00121743

アジア初の原発ゼロ実現、火力発電増加に不満の声も【図表】(トップニュース)

 台湾で唯一稼働していた台湾電力(TPC)の第3原子力発電所(屏東県恒春鎮)2号機の運転が17日に終了し、民進党政権が推進してきた「原発ゼロ」が実現した。脱原発はアジアで初めて。卓栄泰・行政院長(首相に相当)は16日、原発停止で供給予備率は3%低下するが、安全な範囲以内だと説明した。最大野党の国民党は18日、午前1時時点の電力供給は火力発電が96.5%だったと指摘し、今後、電力料金は高まる一方で、大気汚染も深刻化すると批判した。17日付経済日報などが報じた。

/date/2025/05/19/00nuclear_2.jpg第3原発2号機は17日午後10時に送電を停止した(17日=中央社)

 卓・行政院長は、現時点で昼間の供給予備率は12~15%、夜間は10%以上のため、原発停止で3%低下しても、安全な範囲内だと説明した。

 原発停止目前の5月13日、原発の運転期間を最長20年延長できるようにする核子反応器設施管制法(核管法)第6条の改正案が立法院(国会に相当)で野党の賛成多数で可決されていた。第3原発を再稼働できるかと質問された卓・行政院長は、核能安全委員会(核安会、旧・行政院原子能委員会)が関連法規を整備し、安全検査を実施した後に、経済部とTPCが政策の決定を下すが、スケジュールは未定だと説明した。

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 第3原発の敷地は今後、太陽光発電所に転換する。今年2月に既に一部エリアで送電を開始した。来年3月までに全エリアでの送電を開始する。年間発電量は5800万キロワット時(kWh)の予定で、一般家庭1万5000世帯分の年間利用量に相当する。

■再生エネ、20%目標

 TPCは、第3原発2号機の運転停止に伴い、25年に大潭液化天然ガス(LNG)火力発電所(桃園市)7号機など大型ガス火力発電設備4基を稼働させる予定だ。設備容量は計480万キロワットで、第3原発2号機(95万キロワット)を大きく上回る。

 翁暁玲・立法委員(国民党)は18日、午前1時時点の電力供給で、火力発電が96.5%を占めており、再生エネルギーは2%に過ぎず、夜間の大気汚染が深刻化すると批判した。

 TPCの公式サイトによると、きょう19日午前10時時点の電力供給は、ガス火力発電が43%、石炭火力発電が27%、太陽光発電が21%だった。このほか、コジェネレーションが5%未満、石油火力発電、水力発電、風力発電がそれぞれ1%未満だった。

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 国立清華大学の工程系統科学系の李敏・退職特聘教授は、台湾は電力供給の80%以上を化石燃料を使用する火力発電に依存しており、化石燃料は価格が変動しやすい上、温室効果ガスの実質排出ゼロ(ネットゼロ)目標や、TPCの巨額の赤字などの問題もあるため、原発を再稼働すべきと提言した。

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 台湾では11年の東日本大震災を機に脱原発の機運が高まり、蔡英文・前政権(民進党)が25年の脱原発目標を掲げ、再生可能エネルギーの電源構成(エネルギーミックス)20%達成を目指していたが、26年11月の達成に目標を延期している。

 

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