大手DRAMメーカー、茂徳科技(プロモス・テクノロジーズ)が業績の悪化を受けて政府に支援を要請したことが分かった。政府は同社がエルピーダメモリ・力晶半導体(PSC)・瑞晶電子(レックスチップ・エレクトロニクス)陣営に加わることを望んでおり、茂徳も受け入れる方針とみられることから、実現の可能性が高まっている。台湾DRAM業界は再編に向けて動き出したようだ。10日付工商時報などが報じた。
茂徳は、第3四半期の損失が約88億台湾元(約242億円)まで膨れ上がり、同期末時点で100億元の資金不足に陥ったとされる。資金流出が続く中、第3四半期末時点の買掛金が166億元、1年以内に支払い期限を迎える短期融資が219億存在することに加え、来年2月14日には111億元分の転換社債(CB)が満期を迎える。しかも現在同社の株価は1元余りまで低下しており、社債保有者のほとんどが現金での償還を選択するとみられる中、資金難はさらに深刻化すると予想される。
経済部関係者によると、茂徳は経済部に対し、銀行が債務繰り延べを認めることに政府として協力することを望んでいるという。
「ハイニックスとは提携破棄」
DRAM産業プロジェクトチームの招集人である施顔祥経済部次長は、「個別の支援策についてはコメントしない」としているが、茂徳の陳民良董事長が「当社と域内DRAM業界発展のため、政府の提案を受け入れる」と発言していることから、業界では、「ハイニックスとの提携関係を破棄し、エルピーダメモリと提携する」という政府の条件を、茂徳が受け入れざるを得なくなったとみている。
また、先日台湾を訪問したエルピーダの坂本幸雄社長も「茂徳には興味を持っており、銀行債務の問題が解決し、ハイニックスとの関係がなくなれば、当陣営への加入を歓迎する」と発言しており、工商時報によると茂徳幹部も「エルピーダ陣営入りは必然」と語ったという。
また、茂徳は9日の董事会で、目下の資金不足を補うため、傘下に保有するウエハーテスティング装置100台余りを売却し、光?科技(EPILED)や資茂科技といった出資先の持ち株を手放すことを決定した。
エルピーダ・力晶・茂徳の合併も
エルピーダと提携する力晶半導体(PSC)は、「グループ組織の大統合に向け準備を進めている」と茂徳の陣営加入に歓迎の意を表明しており、黄崇仁同社董事長も「エルピーダ、力晶、瑞晶の合併を含めて現在検討中」と語った。また、経済部は従来「合併してこそ競争力が強化できる」と主張しており、業界では、力晶、茂徳ともにエルピーダに買収される可能性が大きく高まったとみている。
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