力晶半導体(PSC)などDRAM大手4社が、春節(旧正月)に最低でも11連休を取るなど、過去に例のない長期休暇の実施によって事実上4~5割の減産に取り組む。世界市場全体へのDRAM供給量が一時的に約15%減少する計算となり、市場の需給改善と価格を反転させる効果が期待できる。12日付経済日報が報じた。
最大手の力晶は、12月下旬のクリスマス休暇を1月初頭まで延長した上で、春節に11日間の連休を設ける。これについて譚仲民同社副総経理は、「市場の現状からみて、休暇の早期実施は赤字拡大の食い止めと、市場メカニズムの正常化に貢献する」と期待を語った。
業績の悪化によって政府に支援を要請した茂徳科技(プロモス・テクノロジーズ)では、春節を挟んだ前後3週間にわたって各部門交代で休暇を取る。新竹科学工業園区(竹科)、中部科学工業園区(中科)の計3基の12インチウエハー工場も、休暇となる期間は生産を行わない方針だ。
華亜科技(イノテラ・メモリーズ)は、白培霖副総経理によると、春節で11日間の休暇を計画しており、また、春節の翌週1週間は従業員に無給休暇の取得を奨励する考えだ。南亜科技も、春節の11連休を計画している。
台湾メーカーによるDRAM供給は世界全体の約35%を占めている。証券業界では、長期休暇の実施はスポット市場への供給の多い力晶に最も恩恵をもたらすとみている。
レックスチップ土台に再編を
譚仲民・力晶副総経理は11日、エルピーダメモリとの合弁DRAMメーカー、瑞晶電子(レックスチップエレクトロニクス)に行政院国家発展基金(国発基金)の出資を仰いだ上で、レックスチップをプラットフォームとして台湾DRAM業界を再編し、韓国勢に対抗していく構想を立てていることを明らかにした。ただ、あくまで構想段階で、まだ政府に正式な提案は行っていないという。
レックスチップをプラットフォームとするのは、同社が上場や店頭公開を行っておらず、経営上の重要な決定を行うに当たって、他の上場・公開のDRAMメーカーのように株主会議の承認を得る必要がないためだと説明。その上で、「台湾はDRAM産業を失うことはできない。最も効率の良い方式で、最大の効果を発揮させなければならない」と強調した。
レックスチップは昨年10月に中科で12インチ工場を稼働させた台湾で最も若いDRAMメーカーで、月産能力8万枚で従業員数2,000人。現在、65ナノメートル製造プロセスへの転換を進めている。このほどエルピーダが出資比率を52%に高めて子会社としている。
力晶の構想に対し、経済部では、DRAM業界の再編については、まずメーカー同士の話し合いがなされるべきという立場だ。一方、経済日報は、「DRAM業界が合併を経て再編に向かうのであれば、レックスチップは資本管理などが他メーカーよりも容易とみられ、プラットフォームとしては適している」と論評した。
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