ニュース 電子 作成日:2025年6月27日_記事番号:T00122529
液晶パネル大手の群創光電(イノラックス)は26日、シンガポール子会社の自動車部品会社CarUX(カーユーエックス)ホールディングが、欧州系投資ファンドEQTが保有する車載電子機器メーカー、パイオニアの全株式を1636億円で取得すると発表した。2025年末までに取引を完了する予定。CarUXは「スマートコックピット(eコックピット)」と呼ばれる運転席周りのディスプレイシステムを自動車メーカーに納めており、パイオニアが強みを持つ車用音響技術などを組み合わせることで、車載パネルでの市場拡大を目指す。27日付工商時報などが報じた。
イノラックスは10年に1860億台湾元(約9300億円)を投じて、奇美電子(チーメイ・イノルックス)と統宝光電を買収し、今回は15年ぶりの大規模な買収案件となる。日本円相場が非常に安い水準にあるこのタイミングを見極め、1938年に音響機器メーカーとして創業したパイオニアの買収に踏み切った。
CarUX董事長を兼任するイノラックスの洪進揚・董事長は、買収を通じて、CarUXはパイオニアが築いてきた日本やグローバルなOEM(相手先ブランドによる生産)ネットワークを活用でき、特にこれまで入り込むのが難しかったトヨタ自動車など日本の自動車メーカーのサプライチェーンに参入する道が開かれると指摘した。
洪・董事長は、CarUXは自動車メーカーに部品を直接納入するティア1(一次)サプライヤーで、主に視覚関連のソリューションに強みを持っているが、パイオニアの車用音響分野をはじめ、マルチメディアシステム、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)ソフトウエア開発の技術力を活用することで、スマートコックピット向けの包括的なソリューションを提供できるようになると述べた。
また、両社の研究開発(R&D)、製造拠点を統合することで、CarUXは世界のOEM顧客のニーズにより迅速に対応できる体制を整えることができると説明した。
パイオニアの矢原史朗代表取締役兼社長執行役員は「車載向けスマートコックピットディスプレイとソリューションに関するグローバルな知見と実績を有しているCarUXと共に、業界に前例のない統合型の価値製品を提供できると信じている」と表明した。
■車載事業が成長エンジンに
イノラックスは24年の非ディスプレイ事業の売上高構成比が24%。その中心は車載事業のCarUXで、車載関連の売上高は500億元を超えるとみられている。パイオニアの24年売上高は約2400億円で、両社を合わせると売上高はほぼ1000億元に達する。
パネル業界では、パネル価格の低迷に加え、中国メーカーとの競争も激しさを増す中で、イノラックスと友達光電(AUO)の大手2社は、売上高が最盛期の4000億〜5000億元からほぼ半減し、本業は赤字になることも多い。自動車分野への展開を拡大し、車載用パネルのほか、システムも提供することで売上高増を図る。
AUOは23年、ドイツの車載空調制御機器メーカー、ベーアヘラサーモコントロール(BHTC)の全株式を6億ユーロ(約200億円)で取得し、24年4月に買収を完了。これにより、BHTCを加えた車載事業の24年売上高は前年比60%増の714億元に上った。25年の車載事業の売上高は800億元を突破すると予想されている。
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