きょう(15日)中台海運直航第1便が就航した。域内4大港ではこれを機に新たな商機獲得に向け、それぞれが独自の価値を高めるべく取り組みを行っている。15日付経済日報が報じた。
基隆港で海運直航スタートの記念式典を行う劉兆玄行政院長(中央)ら。直航は同港再生の大きなチャンスになると期待されている(15日=中央社)
台商のUターン投資獲得を
台中港務局の王俊明局長は、「台中港はアモイに近く、さらに後背地が広く周辺に台中空港(清泉崗空港)も備えている」と強みを強調し、台中港自由貿易港区は今後台中港加工輸出港区、中部科学園区(中科)、台中工業区と連携して埠頭(ふとう)での積み卸し、保管物流、生産加工の3大機能を企業に提供するとの方針を示した。その上で、「中国に進出する台湾企業(台商)による、自由貿易港区や埠頭へのUターン投資促進のため積極的に誘致を行う」と語った。 また10月に台中~澎湖に就航した定期貨客フェリー、「海洋拉拉号(オーシャン・ララ号)」が将来的には台中~アモイ間を運航する計画だ。
中国側との効果的な提携を
一方、基隆港の蕭丁訓港務局長は、同港を「付加価値型物流・客運港」と位置付け、物流では「輸入型」および「地域型」港湾として、旅客輸送では両岸(中台)直航便および国際フェリーの寄港地としての発展を目指し、中国側港湾との提携を進めるという考えを示した。同港務局では、提携先として物流面では、▽アモイ▽福州▽泉州(福建省)▽太倉(江蘇省)▽江陰(江蘇省)▽張家港(江蘇省)──、旅客輸送面では上海、天津、アモイなどを検討している。
また砂利のばら積み貨物、およびセメントや木材など原材料の取り扱いを主とする花蓮港では、木材の輸出が多い遼東半島の丹東港(遼寧省)や花崗岩(かこうがん)で有名なアモイ港など、同港と補完性の高い港湾と戦略的提携関係を構築し、競争力向上を図る考えだ。特に花蓮は花崗岩の加工技術で名高く、アモイ港との提携が産業の発展を促すと期待している。
また、基隆港と提携して観光産業にも注力する考えで、中国から基隆に到着したフェリーを花蓮まで延長して運航させ、ホエールウオッチングなどに観光客を呼び込みたい考えだ。
一方、外国籍船コンテナ「積替え業務」を扱う境外航運中心を設置して、11年前から福州、アモイへ向けた直航便の発着点となってきた高雄港では、「新たに対岸の港が増えるだけ」として運営に全く問題がないことを強調している。なお、北京ダックで世界的に有名な全聚徳集団が、台湾第1号店を高雄港内にオープンすることを計画している。