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国民党立法委員24人のリコール、全て不成立【図表】(トップニュース)


ニュース 政治 作成日:2025年7月28日_記事番号:T00123119

国民党立法委員24人のリコール、全て不成立【図表】(トップニュース)

 最大野党、国民党の立法委員(国会議員)24人への罷免(リコール、解職)の是非を問う投票が26日に行われ、即日開票の結果、いずれもリコールは成立しなかった。国民党寄りの聯合報は「大罷免大失敗」、「頼清徳・総統、民進党への不信任票だ」などと伝えた。8月23日にも国民党の立法委員7人へのリコール投票が予定されているものの、少数与党の民進党がリコール、その後の補欠選挙で立法院で過半数を奪い取るのは困難とみられている。

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 立法院の議席113議席は、▽民進党、51議席、▽国民党、52議席、▽台湾民衆党、8議席、▽無所属、2議席(国民党寄り)──。これまで、国民党と台湾民衆党が協力し、2025年予算削減など数々の議案を成立させてきた。

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 投票日当日は晴天に恵まれ、中央選挙委員会(中選会)によると、各選挙区の投票率はそれぞれ49.62~60.10%だった。総統選挙や立法委員選挙よりは低かったが、過去のリコール投票に比べると高かった。

 リコール成立の条件は、有効な賛成票(罷免に同意)が選挙区の有権者数の4分の1以上で、賛成票が反対票を上回ること。

 24人のうち7人は賛成票が選挙区の有権者数の4分の1を超えたものの、24人いずれも反対票を下回り、リコールは否決された。

 花蓮県選出の傅崐萁・立法委員は、投票率が6割を超え、賛成票が4万8969票で選挙区の有権者数の4分の1を超えたものの、反対票が6万5300票で上回った。

/date/2025/07/28/00recall_vote_2.jpg花蓮県選出の傅・立法委員のリコールを推進していた市民団体の支持者は26日、リコール不成立を受け、抱き合って涙を流した(26日=中央社)

 一方、新北市第7選挙区(板橋区)の葉元之・立法委員は、反対と賛成の票差がわずか3560票(2.74%)だった。

 同日に行われた高虹安・新竹市長(停職中、台湾民衆党を離党)に対するリコール投票は、反対票12万4360票が賛成票8万6291票を上回り、否決された。

 高・市長は、台湾民衆党の立法委員だった当時、秘書給与を詐取した罪で有罪判決を受け、控訴している。

■「社会を分断」と批判

 国民党の朱立倫・主席は26日、台湾の市民は投票を通じて台湾の民主主義と台湾を守ったと勝利を宣言した。頼・総統に対し、市民に謝罪して反省し、世界経済や米国の関税政策に直面する中で、政治的対立に明け暮れることなく、台湾はどうすれば難局を乗り越えられるかを考えるべきだと述べた。

/date/2025/07/28/00recall1_2.jpg台北市選出の国民党立法委員5人のリコールが否決され、蒋万安・台北市長(右3)とともにこぶしを挙げて勝利を宣言した(26日=中央社)

 第2野党の台湾民衆党の黄国昌・主席は、民進党が推進したリコール運動は、台湾社会に深刻な分断をもたらしたと指摘した。卓栄泰・内閣は行政の中立性に著しく反して、行政の資源を乱用したと指摘し、即座に解散すべきだと主張した。

 頼・総統は同日夜、リコール投票の結果を皆が尊重し、受け入れるべきだと、フェイスブック(FB)に投稿した。政府の責任は、国民のために尽くし、国家の利益を守り、国を前進させ続けることだと指摘し、与野党の協力と団結を呼びかけた。

■国民党の組織動員で勝利

 投票結果について、国立成功大学政治学系の王宏仁・教授は、リコールを呼び掛けた市民団体は当初、「不適任な立法委員のリコール」を訴えていたが、その後は与野党の対決になったと指摘した。民進党のリコール支援が遅かった上、リコール投票の対象となった選挙区は大部分がもともと国民党の地盤だったため、国民党の組織的動員が奏功したと分析した。

 今後の政局について、国立政治大学国際事務学院の陳文甲・兼任副教授は、民進党が立法院での劣勢を覆せなかったため、国防予算や国会改革といった重要政策の推進が困難だと分析した。また、リコール阻止の過程で国民党と台湾民衆党が戦略的に連携したと指摘し、この関係は今後の選挙や立法院での攻防でも続き、民進党をけん制するとの見方を示した。

 8月23日は、国民党の立法委員7人のリコール投票と、第3原子力発電所(屏東県恒春鎮)の再稼働の是非を問う住民投票が行われる。

 2026年には統一地方選挙が予定されている。民進党関係者は、国民党が総力を挙げて組織票を動員したほか、「藍白合流」(国民党と台湾民衆党の連携)の構造が強化される中、民進党は民意を把握し、政策のメリットを有権者に実感させることが課題になると語った。

 

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