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直航拡大、パネル輸送コスト1割減


ニュース 電子 作成日:2008年12月16日_記事番号:T00012313

直航拡大、パネル輸送コスト1割減

 
 中台間の海空運直航便が15日開放・拡大され、電子産業にも大きなメリットをもたらすと期待されている。液晶パネル最大手、友達光電(AUO)は、物流コストが全体で5~10%低減し、中台間の在庫サイクル日数も2日前後短縮するという見方を示した。奇美電子(CMO)、鴻海精密工業や宏碁(エイサー)なども、台湾の電子産業にとって経営効率の向上、核心技術の流出抑止といった効果があると見込んでいる。16日付経済日報が報じた。
 
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基隆港で就航式典を行う陽明海運の直航第1便「宇明輪」。電子製品などを載せて上海に向かった。従来より丸1日早く着くという(中央社=15日)
 
 域内液晶パネルメーカーはいずれも、台湾でセル製造の前工程までを終えた後、中国に運んで後工程モジュール(LCM)の組み立てを行っているため、中台間の貨物輸送をいかに円滑に行うかは大きな課題だ。

 パネルメーカーはまた、ノートパソコン(ノートPC)用および液晶モニター用から液晶テレビ用に製品の重点が移るに伴い、パネルサイズも10数インチから40~50インチへと大型化が進んでいる。これに従い重量も増大しており、空輸ではコストがかかりすぎることから海運への依存度がますます高まっている。このため、AUOは今回の海運直航開通を「福音だ」と喜んだ。 

 奇美電も、「海運直航は当然コスト削減につながる。最大の恩恵は輸送費の削減と在庫の低減で、今後中国工場の在庫水位の引き下げが可能になる」としている。

 フラットテレビの中国国内市場にも深く参入している奇美電は、「今回直航に港湾が開放された広州でもLCM工場を設置している。今後、同地の顧客テレビメーカーが組み立て・市場投入を加速することができ、当社にとって成長の大きな要素となる」と期待を示した。
 
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中国進出の緊急性弱まる
 
 経済部では、海空運直航の全面開放により、中台間の移動時間が短縮され、輸送コストも約15%低減するとみており、サプライチェーンにおける台湾の経営本部としての役割がより強まるという見方を示している。また、これまで企業が中国投資を進めてきた主な理由に「川下メーカーの近くに進出することによるコスト低減」が挙げられるが、中台間の輸送コスト低減により、パネル産業のような中国進出が課題とされていた業界でも、今後は切迫した必要性がなくなり、台湾での投資を継続する可能性も高まるとしている。

核心技術の流出を防げる
 
 パネル産業以外では鴻海精密工業も、「(中台の)距離を縮め、効率を向上させ、リソースの浪費が防げる」と歓迎した。さらに宏碁(エイサー)の王振堂董事長は、「これまでノートPC受託生産など台湾のIT(情報技術)関連メーカーは、上海や広州などへの核心技術の移植を迫られてきたが、今後はこれらの技術を台湾にとどめることが可能になり、ノウハウの流出を防げる」とメリットを強調した。

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