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関税上乗せ回避も目指す、対米交渉で=鄭・行政院副院長【図表】(トップニュース)


ニュース その他分野 作成日:2025年8月12日_記事番号:T00123435

関税上乗せ回避も目指す、対米交渉で=鄭・行政院副院長【図表】(トップニュース)

 米国との関税協議で台湾代表を務めている鄭麗君・行政院副院長は11日、記者会見し、米国が7日から発動した暫定20%の相互関税を巡り、税率の引き下げのほか、現行の関税に20%の相互関税を上乗せしない方式を米国に引き続き求めていくと表明した。また、トランプ米大統領が米国に輸入する半導体に関税100%を課すと表明したことを受け、半導体などテック企業と対米投資計画について意見交換する予定で、官民の力を合わせてより有利な交渉結果を勝ち取ることを目指すと強調した。12日付経済日報などが報じた。

/date/2025/08/12/00zhenglijun1_2.jpg鄭・行政院副院長は、対米関税交渉でより良い税率を追求して産業界の期待に応えたいとする一方で、立法院で交渉の進捗を説明する意向を示した(11日=中央社)

 台湾から米国への輸出は最恵国待遇(MFN)に相互関税を加える計算方式が適用され、例えば工作機械の場合、台湾の暫定税率20%を上乗せすると、関税は24%になる。行政院の龔明鑫・秘書長は、主要競合国である日本、韓国、ドイツの15%より9ポイント高いことで、門型マシニングセンタ、ターニング・ミーリング複合加工機は日本などの製品に取って代えられる恐れがあると分析した。今後は企業のインドや東南アジア、欧州など米国以外の市場の開拓を支援し、買い替えの補助金などで内需拡大も図ると説明した。

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 台湾と米国は4月以降、4回の対面交渉と10回のオンライン交渉を行い、相互関税が発動した7日と8日にもビデオ会議を行った。鄭・副院長は、今月1日までに最終税率について合意できなかった理由は、日程的制約のほか、双方がまだ最終まとめ会議に入っていないためだと説明した。

 台湾は米国の第6位の貿易赤字相手国で、その赤字の9割が半導体と情報通信技術(ICT)製品によるもの。鄭・副院長は、これは米国が近く発表する通商拡大法232条に基づく半導体関税とも重なっているため、台湾は一括して協議し、最も有利で合理的な税率を目指していると説明した。

■合意は「できるだけ早く」

 ベッセント米財務長官は、まだ合意してない国・地域との交渉を10月末までに完了すると言及しているが、鄭・副院長は「できるだけ早く合意を目指す」とし、有利な交渉条件を整えるため、近くテック産業の関係者を招集して意見交換し、今後の米国投資で企業が力を合わせられるようにしたいと述べた。

/date/2025/08/12/00zhenglijun2_2.jpg鄭・行政院副院長(前左2)は行政院の各部会(省庁)の代表とともに記者会見した(11日=中央社)

 関係筋によると、電子機器受託製造サービス(EMS)最大手、鴻海精密工業(ホンハイ・プレシジョン・インダストリー)をはじめ、広達電脳(クアンタ・コンピューター)、和碩聯合科技(ペガトロン)、緯創資通(ウィストロン)、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)、英業達(インベンテック)など受託生産大手やサーバー企業が米国投資に意欲があり、その投資額は政府が交渉の切り札として統合する見込みだ。このほか、多くのテック企業は行政院関係者と接触し、意見交換を進めている。

 鄭・副院長は、台湾のテック企業は世界のAIの中心を目指す米国で投資を拡大中であり、この流れを交渉に組み込み、台米サプライチェーンの長期的な協力を促進し、台湾産業の国際展開に有利な環境を整えたいと強調した。

 

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