液晶パネル業界で、大規模な人員削減が始まった。携帯電話用パネル大手の勝華科技（ウィンテック）は17日、生産ラインで働く正社員620人を対象に、予告なしでの解雇を実施した。奇美電子（ＣＭＯ）も同日、派遣労働者の中途での契約打ち切りを発表。パネル業界のコスト削減は、これまで無給休暇や管理職の減給などにとどまっていたが、景気の先行きが見えない中、人員削減にまで踏み込まざるを得なくなったもようだ。18日付経済日報が報じた。
　
　
　ウィンテックが解雇した620人は、台湾の従業員全体の10％に当たる。黄顕雄董事長は、「経営を続けていくための苦渋の選択だ」と強調した。同社は、事前通知なく即時解雇となった従業員らに対し、規定の解雇予告手当を支給するとしている。同社では12月から、上級幹部に対する30％の減給や、無給休暇などを実施していた。

　奇美電が契約を中途で打ち切る派遣労働者は、派遣全体の８割に当たる3,000人に上るという観測が出ている。同社は「市場でうわさされるほど多くはない」とコメントしたものの、正確な人数は明らかにしなかった。正社員の削減計画について現段階ではないとしながらも、「今後、組織構造や生産能力利用率を調整していく中で、市況次第ではスリム化が必要となる可能性もある」とした。

　奇美電と契約を結ぶ人材派遣会社では、派遣労働者に契約打ち切りの通知を進めているが、法律に基づいて手当や賃金、春節ボーナス（年終奨金）の支給を行うと強調している。報道によると、中には携帯電話のメールで通知を受けた例もあり、派遣労働者からの不満が噴出しているようだ。

ＡＵＯ、派遣契約を延長せず
　
　域内最大手の友達光電（ＡＵＯ）は、現段階では人員削減も派遣契約の中途解約も考えていないとする一方、派遣労働者については契約満了後、更新しない方針を表明している。

　瀚宇彩晶（ハンスター）は、高雄加工輸出区の液晶パネル後工程モジュール（ＬＣＭ）工場を11月に閉鎖して中国南京に移転したため、その際に派遣労働者数が既に減少したと指摘した。しかし市況の悪化から、上級管理職の減給や無給休暇の導入などを検討しているという。

　中華映管（ＣＰＴ）の邱創儀総経理は、上級管理職の減給や無給休暇などを実施しているが、現在人員削減計画はないとして、「軽々しく従業員の労働の権利を奪うようなことは絶対にない」と強調した。
　
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