行政院農業委員会(農委会)は20日、高雄県路竹の養鶏場で10月21日に発生した病気が弱毒性の鳥インフルエンザH5N2型と確認されたため、11月14日にニワトリ1万8,000羽を処分したこと、および国際獣疫事務局(OIE)に報告したと発表した。今月17日、自由時報が鳥インフル発生を指摘したが、農委会は同日これを否定していた。ニワトリの大量処分も20日になって初めて認めた形で、事実を隠ぺいしようとした疑いがあり、識者などから批判が相次いでいる。21日付自由時報が伝えた。
鳥インフルエンザに関する情報は、世界的に関心が高まっている。弱毒性とはいえ、公表しなかった判断には疑問が持たれる(中央社)
農委会が17日に発表したのは、「高雄県の養鶏場でH5N2型と疑われるウイルスが、死んだニワトリから検出された」ことのみだったが、実際には家畜衛生試験所の検査で11月12日にH5N2型ウイルスが確認されていた。
農委会は「再検査の結果、12月20日に同ウイルスの感染が確定したため発表した」としており、陳武雄主任委員は情報隠しの疑いについて「防疫作業は高度な科学的作業で、むやみに感染を公開すれば産業に悪影響を与えてしまう」と弁明。また、再検査が39日間を要したことについて「正当な手順にのっとって行われた。故意に引き延ばしてはいない」と強調した。
しかし、台湾大学獣医系の賴秀穂教授は「ウイルスのDNA検査を行えば遅くとも10日以内で結果が出る。農委会の検査は時間がかかり過ぎている」と批判した。
財団法人消費者文教基金会(消基会)の謝天仁董事長は、「ウイルスの毒性が強いかどうかにかかわらず、消費者は知る権利があり、農委会が直ちに発表しなかったことは不適切だ」と指摘した。
なお、中華民国養鴨協会の賴振松理事長によると、今回の問題で日本が取った輸入禁止措置による損害は、北京ダックの輸出農家で最も大きく、全体では総額2億台湾元(約5億5,000万元)に上る予測だという。