20日付工商時報が報じたところによると、ＥＭＳ（電子機器受託生産サービス）世界最大手の鴻海精密工業が、中国のプリント基板（ＰＣＢ）工場で長期間の稼働停止を実施しているとの観測が出ている。ＰＣＢ関連業者によると、電子業界で不景気の影響が最も深刻なのはＰＣＢ業界で、鴻海の同部門では、▽淮安工場（江蘇省）、２週間▽煙台工場（山東省）、１カ月▽瀛口工場（福建省）、４カ月──の予定で停止するという。
ただ、稼働停止の観測について鴻海の丁祈安スポークスパーソンは、「顧客の要望に合わせてＰＣＢ生産拠点を華南地区に集中させ、コスト低減、競争力向上を図る計画で、ラインを移設しているだけだ」としている。
一方、最近同社傘下で人員削減の観測が相次いでいることについて郭台銘鴻海董事長は19日、「今回の不景気は皆が思っているよりも３倍深刻な状況となる」と悲観的な見方を示し、「危機を迎えて積極的に対策を講じなければ、最後は政府に救済を求めることになり、それが健全と言えるだろうか」と問い掛けた。その上で、同社では、▽例年行われる業績不良従業員の解雇（世界で全従業員の３～５％）▽経営の発展に必要な人員削減──の２段階の組織スリム化を実施する考えを示した。
