昨年12月の輸出総額は前年同月比41.9%減の136億4,000万米ドルで、過去最悪の下落幅となった。特に輸出の約4割を占める中国向けは、下落幅54%と不振が目立った。輸出の深刻な落ち込みによって、今年の経済成長率2.12%の予測は、早くも見直しを迫られている。財政部7日発表の貿易統計を基に、8日付経済日報などが報じた。
中国向けの輸出額は、中国経済の減速で昨年9月からマイナス成長に転じ、▽9月、81億9,600万米ドル(前年同月比16.3%減)▽10月、74億6,800万米ドル(19.9%減)▽11月、56億3,000万米ドル(38.5%減)──と下落幅を拡大させてきた。台湾の対中輸出額は、昨年通年で輸出総額全体の39%を占めており、与える影響は大きい。
中国向け以外の昨年12月の輸出額も、▽米国向け、21億7,600万米ドル(前年同月比23.5%減)▽日本向け、11億9,500万米ドル(21.9%減)▽東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国向け、19億4,300万米ドル(46%減)──といずれも減少した。
12月後半の輸出、83%急減
月間の輸出総額は、マイナス成長に転じた昨年9月以降、▽9月、218億5,000万米ドル(前年同月比1.6%減)▽10月、208億500万米ドル(8.3%減)▽11月、167億8,000万米ドル(23.3%減)と下落幅は大きくなる一方だ。12月に下落幅が4割を超えたことに対し、林麗貞財政部統計長は「思いもよらなかった」、中央銀行の彭淮南総裁は「30%前後と予測していた」と、それぞれ意外だったという感想を語った。昨年12月前半は3.6%減にとどまっていたものの、直近の後半に83.3%減まで大きく落ち込んでおり、輸出は加速度的な減少のまっただ中にあることがうかがえる。
こうした状況を受けて、行政院主計処の担当者は、「これでは今年の予想経済成長率、2.12%の達成は無理だ」と発言した。輸出の落ち込みが第2四半期まで続くようであれば、成長率の下方修正の可能性もあるとした。
12月は製品別では、主要輸出品4項目がそれぞれ過去最大の下落幅となり、▽半導体など電子製品、32億4,400万米ドル(前年同月比43.4%減)▽プラスチック・ゴムとその製品、10億5,400万米ドル(37.8%減)▽基本金属とその製品、16億8,800万米ドル(32.6%減)▽機械、10億6,400万米ドル(30.2%減)──と軒並み3割以上の下落をみせた。
輸入も44%減、悪循環に
昨年12月の輸入総額も、前年同月比44.6%減の117億8,000万米ドルと、過去最大の下落幅となった。原料価格の下落のほか、輸出不振で部品輸入の需要が低迷するという悪循環にはまってしまったためだ。林統計長の予測によると、輸出、輸入ともにまだ谷底には達しておらず、今年第1四半期はさらに悪化する。回復に向かうのは、早くても今年下半期からだという。
08年貿易黒字、45%減
昨年通年の輸出総額は、前年比3.6%増の2,556億6,000万米ドルで、輸入総額は9.8%増の2,408億2,000万米ドルだった。昨年下半期は苦境に立たされたが、上半期は貿易が好調だったため、通年では148億米ドル余りの貿易黒字となった。ただ、黒字額は2007年と比べると45.9%も下落し、この28年で最大の下落幅だった。【図】