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作成日:2009年2月27日_記事番号:T00013669
大前研一氏、「台湾のチャンスは東欧にある」
経営コンサルタント大前研一氏は、経済情報誌「遠見」2月号のインタビューで、馬英九政権が実現させた中台直航について「本来は3~5年前にやっているべきことだったが正しいことだ」と評価した。その一方で、「中国だけに頼って台湾経済を救おうと考えれば失望することになる。今後、人民元が上昇した中国への投資を減らして、東欧のルーマニアやウクライナ、近東のトルコに注意を向けるべきだ。既に欧州の多くの国が中国からこれらの国へと輸入先を変えている」と、台湾企業に対し新興地域への投資を重視すべきというアドバイスを行った。
大前氏は台湾のメリットとしてオペレーション管理、輸出の強みを挙げ、「鴻海精密工業は日本企業以上に日本製部品を把握しており、こうした知識はとても貴重だ」と指摘した。また、台湾企業は部品を日本から買って中国で生産して英語圏に販売するため、台湾人は世界で唯一、英語、中国語、日本語の3言語に長けており、このことを「他の国にはないアドバンテージだ」と評価した。その上で、今後も優秀な製品を世界に販売するモデルを発展させ続けるべきだと提言した。
インタビューは1月に高雄市議会と鴻海の招きで高雄の今後の発展戦略について提言するために同市を訪れた際に行われており、大前氏は高雄港の展望について、「既に大型港との直接競争には適しておらず、加工輸出もチャンスは多くない。積替再輸出や企業のオペレーションセンターなど、他の方向性を考えるべきだ」と語った。
金融危機はマグニチュード8
大前氏は金融危機については「地震で言えばマグニチュード8クラスで、今後さらに2~3回の新たな地震が起こるだろう。まだ地震の中期で、嵐がいつ収まるのか分からない」と語った。
また、米国景気の今後について「米国人は政府に従わず、貯蓄の習慣もないため、日本の『失われた10年』よりも悲惨な状況になる。オバマ政権は経済の救済に7,000億米ドルの拠出を決めたが少なくとも5兆米ドルが必要で、世界中から金を借りなければならない。今後米国の不景気は10年続くため、心理的準備をしておく必要がある」と指摘した。