大同グループ傘下の中堅液晶パネルメーカー、中華映管(CPT)の巫俊毅副総経理は26日、間もなく償還期限を迎える150億台湾元(約424億円)のシンジケートローン(協調融資)返済について1年間の繰り延べを求め、経済部工業局の「愛心企業融資プログラム」に申請を行ったことを明らかにした。パネル業界でこうした要請は初のケースで、業界景気が依然不透明な中、DRAM業界と同様、再編・統合につながるのではないかとの観測も出ている。27日付工商時報が報じた。
巫副総経理は、昨年末時点で260億元の手持ち現金があるものの、協調融資の返済期限を迎えて資金繰りが苦しくなるため申請に踏み切ったと説明。「政府に公的資金の注入を要求しているのではなく、返済繰り延べに債権行の同意を取り付ける上で、政府の後押しを得たいだけだ」と強調している。
中華映管が今回申請を行った「愛心企業融資プログラム」は、1年以内のリストラによる従業員解雇者数を全体の1%以下とすることを企業側が確約すれば、優遇金利による融資を受けられるとするもので、巫副総経理は「昨年当社のリストラ規模は全体の1%以下にとどまっており、同プログラムの条件に合致する」と語っている。
不況に慎重に対応
巫副総経理はまた、「パネル業者はDRAM業界とは異なり手元に現金が残っている」と業界は危機的状況にはないという見方を述べるとともに、「最悪の状況に備えてこそ、短くて半年、長ければ1年以上にわたる不景気を乗り切ることができる」と、不況に慎重に対応して生き残りを図る考えを示した。
パネル業界では、「今回の不景気で倒れるメーカーが出てくる」という予測も多く示されてきたが、ある政府関係者は「パネル産業全体への協調融資総額は4,000億元に上り、就業人口も膨大で影響が大きいため、倒産しそうなメーカーを政府が黙って見ていることはあり得ない」と語っている。
パネル業の再編、DRAMより困難
パネル業界の再編・統合について工商時報は、「DRAMよりも難しい」との見方だ。同紙はその理由として、パネルメーカーの多くが、所属する企業グループの中心的役割を担っており、合併で合意に至ることは非常に困難なことを挙げている。
ただ今回の不景気の中、ライバルである韓国メーカーがウォン安や自社ブランドを保有するメリットを生かして競争力を高めており、「台湾のパネル産業には統合が必要だと誰もが分かっているが、実際に進めるのは難しい状態」と同紙は指摘した。
【表】