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作成日:2009年3月2日_記事番号:T00013699
懐かしのお茶サービス、台鉄が30年ぶり復活へ

かつて台湾の列車内では、お茶のサービスがあったことをご存じだろうか?1960年、70年代の莒光、観光、光華号や指定席の乗客はいずれも無料で、普通車では有料(1杯2台湾元、その後4元に値上げ)で、熱々のお茶を飲むことができた。
同サービスは80年に廃止されたが、台湾鉄路(台鉄)は、30年ぶりに無料のお茶サービスを復活させる予定だ。対象となるのは観光列車などで、今年下半期から。
台湾では78年に全国初の高速道路が開通するまで、鉄道は最もポピュラーな長距離移動手段だった。当時最高級の列車だった莒光号には、車両ごとに乗務員2人が配置され、各座席に呼び出しベルが付いていた。
サービスも至れり尽くせりで、無料のお茶や新聞、雑誌のほか、熱いおしぼりのサービスもあった(おしぼりは後に廃止)。
66年に登場した光華号は、短距離区間ではビスケット、長距離では弁当のサービスまであった。当時、光華号の乗務員といえば女性にとっては憧れの職業で、ちょうど現在の飛行機のキャビンアテンダントさながら。競争率も非常に高かったという。
しかし、台鉄ではお茶サービスの経験者はほとんどが退職し、現在は5人を残すのみ。71年入社の侯寿興さんもそのひとりで、お茶サービス復活のため、現在後進にお茶の入れ方を猛特訓中だ。
侯さんによると、ガラス製のコップは発車前に一つずつ指ではじき、割れていないかを確認。各座席のコップ置きに設置し、乗客の乗車を待つ。お茶は紅茶、緑茶、ジャスミン茶の3種類。乗客に好みのお茶を尋ね、ティーバッグをコップに入れて、ヤカンの熱湯を注ぎ蓋をする。
揺れる列車の中で熱湯をこぼさずに注ぐのは至難の業。コップは片手で持ちながら、人差し指と中指で蓋の開け閉めをする。侯さんは左右どちらの手でも蓋の操作ができるというから、さすがベテランだ。
多くの人たちにとって、熱いお茶は懐かしい列車の旅の思い出。お茶サービスの復活は、高齢層の旅行者に歓迎されるのは間違いないだろう。