ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

「殺人で運勢を変えられる」、失業男性が通り魔殺人


ニュース 社会 作成日:2009年3月10日_記事番号:T00013898

「殺人で運勢を変えられる」、失業男性が通り魔殺人

 
 不況が続く中、とうとう失業者による通り魔的殺傷事件が発生した。9日、台北市士林区で1人を殺害、2人を負傷させた南投県埔里在住の黄富康(36)容疑者は、「運勢を変えるために、とにかく人を殺したかった」と供述した。

 5年前、投資に失敗し600万台湾元(約1,700万円)もの負債を抱えた黄容疑者は、ここ1年はずっと失業状態。むしゃくしゃする中、以前読んだ日本の漫画の「人を殺せば自分の悪運を死者に転嫁できる」というストーリーを思い出し、殺人願望を持つようになったという。

 部屋探しのネットサイト「易租網」から、30以上の資料をリストアップした黄容疑者は、8日に台北市に住む兄の元を訪れた。次々とリストの家主に電話を掛けたところ、最初に電話がつながったのが士林区の簡添智さん(50)だった。

 黄容疑者は「部屋を見たい」と語り、午前10時20分に貸出物件のマンション(徳行東路)で簡さんと待ち合わせた。そして簡さんが部屋を案内しているすきに、背後からハンマーで殴り、刃物で執拗(しつよう)に切りつけ殺害。

 それだけでは飽き足らず、午後1時ごろ、貸出物件からそう遠くない簡さんの自宅(克強路)を訪れ、ドアを開けた簡さんの妻と息子に切りかかり、重傷を負わせた。

 黄容疑者はその後午後2時ごろ、負傷した指の治療に訪れた新光医院で、事件を知った報道記者に通報されてお縄に。悪びれる様子はなかったという。

 中央警察大学教授など専門家は今回の事件について、犯人は長期にわたるプレッシャーや挫折感から自分の感情をコントロールできず、うっぷんのはけ口を社会へ求めたと分析。昨年起きた「秋葉原通り魔事件」(7人死亡)と似ているという。

 また、台湾ではカウンセリングを受ける習慣が定着しておらず、社会的なセーフティーネットも不十分なことから、今後も類似の犯罪が発生する可能性がある、と警告している。