友達光電(AUO)の李焜耀董事長は12日、「液晶パネル生産ラインの設備稼働率がこのところ急上昇している」と明らかにした。材料・部品不足が解消したためで、中国市場の家電製品の需要の伸びにより今後の見通しも好感できるとしている。第2四半期には稼働率が90%まで上昇し、従業員に対する無給休暇措置が全面的に取り消されるという観測も出ている。13日付経済日報が報じた。
AUOの最大拠点で、主に液晶テレビ、液晶モニター向けパネルを生産する中部科学工業園区(中科)工場では、設備稼働率が既に80%に達したもようだ。ノートパソコン(ノートPC)向けと中小型パネルを主に生産する新竹工場、桃園工場でも、設備稼働率は80%前後まで回復したとみられる。
中科工場の従業員約6,800人のうち、無給休暇の対象者は既に3,000人と半減しており、頻度も以前の月間4日から、1~2日に縮小されたようだ。
Q2は長期受注へ
市場調査機関、ディスプレイサーチの謝勤益副総裁によると、AUOと奇美電子(CMO)の設備稼働率は、現時点で既に75~85%まで回復しており、第2四半期には85~90%まで上昇する見通しだ。ブランドメーカーや販売店による在庫補てんの需要により、年初から納品期限の差し迫った緊急受注が続いたが、第2四半期には長期的な受注にシフトすると予測している。
韓国メーカーの設備稼働率も、現在の85~90%から第2四半期には90~95%まで改善するとの見方だ。謝副総裁は、「世界のパネル業界の最も悪い時期は既に過ぎ去った」と断言した。
サムスンの台湾調達、3割減も
一方、同日付工商時報によると、サムスン電子が今後、かつては50%以上に上っていた外部からの部品調達比率を引き下げるという懸念材料も出ている。
台湾サムスン電子の金衡睦総経理は、サムスン製の部品の使用率を70%以下に抑えるよう、グループ内で通達が出たことを明らかにした。これは「70%までは内部調達が可能」と解釈でき、その場合、外部調達の割合は30%まで低下する。
サムスンの昨年の液晶テレビ出荷台数は、世界首位の2,000万台に上り、パネルは約半分を台湾から調達していた。今年は液晶テレビの目標出荷台数を前年比10%増の2,200万台に設定しているが、外部からの調達を抑制する方針のため、台湾メーカーからのパネル調達規模は年間660万枚に縮小する恐れがある。
さらに、ソニーが今年、パネルの10%を提携先であるシャープから調達するとみられることも懸念材料だ。
AUOは昨年、出荷全体に占めるサムスンとソニーへの割合が40%に上った。奇美電と中華映管(CPT)の、サムスンへの出荷割合は20%だ。
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