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作成日:2009年3月16日_記事番号:T00014033
「エンドロール切らないで」、映画ファンが抗議運動

映画のエンドロールといえば、作品の最後にキャストやスタッフを表示し、著作権を明確にするもの。ところが、台湾ではこれをカットしてしまう映画館が多い。
観客がまだ映画の余韻に浸っている最中、いきなりスクリーンの映像が消え、館内の灯りが点く。音楽も中断され、「ご来場どうもありがとうございました」のアナウンスが流れる。こうなっては観客も、追い立てられるように劇場を出るしかない。
劇場関係者によると、エンドロールは平均約5分間。1日7回の上映作品なら、これをカットすることで35分の短縮になり、営業時間を1時間延長すれば、もう1回多く上映できるという。 この映画館の利益追求主義に対し、ネット上で一連の「エンドロールを返せ」運動が展開されている。発起人はブログ「斯人読舒適」の管理者YZさんで、台北市内の映画館でイギリス映画「Atonement(邦題:つぐない)」を見た際、エンドロールがカットされ、「作品の余韻を楽しむことも許されず、映画を見終わった気がしなかった」という不快な経験がきっかけだった。
「エンドロールを放映するよう要求することは、金を払って映画を見に来た観客の権益」と主張するYZさんは、去年からブログにエンドロールをカットする映画館の情報を掲載するなど抗議行動を続けており、ネットユーザーから賛同する声が多く寄せられている。
「きちんと最後まで見るのが、その作品に対するエチケット」とは映画評論家、聞天祥さんの弁。「アイアンマン」や「カンフーパンダ」などのように、エンドロールの後に結末が隠されている作品だってある。それを見逃せばその映画を見たことにはならない。エンドロールまで見たい、という映画ファンのささやかな願い、劇場側にも通じるとよいのだが。