民進党主席就任後初めて日本を訪問した蔡英文氏は15日東京で講演を行い、「2012年に政権を奪回する自信がある」と強調するとともに、台湾のアジア経済の統合への参加に日本が協力してほしいと訴えた。
熱弁をふるう蔡主席。陳前総統の汚職疑惑が大きく足を引っ張り、台湾主体意識が常識化した現在、旧来と同じ訴えでは政権復帰は厳しい。民進党に何ができるかを具体的に示すことが、有権者の信頼回復の最大の鍵だろう(15日=YSN)
東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の自由貿易協定(FTA)が来年発効するなど、アジアで経済統合の動きが進んでいるが、蔡主席は、日本が台湾に協力することにより、台湾は「中国経済の一部にならず、アジア経済の一部になれる」と述べるとともに、日台FTAの実現を求めた。
また、「両岸(中台)関係の安定には、台湾が自信を持っていることが重要で、アジア全体の安定にもつながる。これには、日本の支持が絶対に必要だ」と語り、日台関係は非常に重要という認識を示した。
馬英九政権の対中政策に関して蔡主席は、「中国との経済関係を、民進党は台湾経済の一部分と考えている。しかし、馬政権はこれをすべてと考え、台湾の主権を犠牲にして中国との経済関係を求めており、このため台湾内部で対立や不安定さを招いている」と批判。さらに「馬政権は中国の圧力や封鎖しようという意図に対抗する意志も能力もない。台湾文化の中国化を押しとどめる考えはなく、台湾が中国的な保守的で閉鎖的な社会に後退する恐れがある」と懸念を示した。
年末の県市長選が鍵
民進党の現況については、「結党22年で、最も困難な時期を迎えている。年末の県市長選挙が非常に重要だ」という考えを示した。
陳水扁前総統の汚職問題に明確な姿勢を示さず批判が出ていることに対しては、「過去8年リーダーだった陳前総統に感情面でつながりを持っている人は多いが、是非の判断能力を失ったわけではない」と述べつつ、「公平な司法によって裁かれなくてはならないと考えている。一審判決までは司法のプロセスを見守らなければならない」と当面は裁判の推移を見守る姿勢を示した。