ノートパソコン(ノートPC)受託生産メーカーでは、例年オフシーズンに当たる第2四半期向けの受注が伸びるなど、回復の兆しが出ているようだ。業界2位の仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)の陳瑞聡総経理は、現在既に70%を越える設備稼働率が来期には80~90%まで上昇する可能性が高いと楽観。首位の広達電脳(クアンタ・コンピュータ)も、「同期分の受注はかなり先まで見通しが立っている」と明言した。ノート受託大手4社の同期出荷台数は最大15%増など、軒並み前期比プラス成長が見込まれている。16日付蘋果日報が報じた。
大手4社の第2四半期の出荷見通しは、▽クアンタ、前期比10%成長(2009年通年出荷目標3,800万台)▽コンパル、同15%成長(通年目標3,200万~3,500万台)▽緯創資通(ウィストロン)、同最大5%成長(通年目標2,200万~2,400万台)▽英業達(インベンテック)、前期同水準か微増(通年目標1,700万~1,800万台)──とみられている。
コンパル、中国工場で増員
このところ出荷が好調で、台数ベースで2月には首位のクアンタに肩を並べたコンパルの陳総経理は、「最近の受注は納期までが短いため、春節(旧正月)後に中国工場の従業員を急きょ増やした」と語った。大手ブランド以外の中国メーカーによる、いわゆる「山寨機(さんさいき)」市場についても、従来の見方を一転、好感を示したが、現在は既存顧客向けの出荷に追われており、山寨機向けまで手が回らない状態だという。
コンパルの第1四半期の出荷目標は620万台だが、陳総経理は先日、これを上回るとの見通しを示している。
クアンタ、「春節前より回復」
クアンタの楊俊烈スポークスマンは、現況は春節前より改善しており、3月分の受注も予想以上に良いことを認めた。慎重な同社は、今期の受注がまだ不安定だとして、フル稼働近くまで引き上げるのは躊躇(ちゅうちょ)しており、現在は適宜柔軟に対応していると語った。
証券会社の予測では、これまでクアンタが製造を手掛けてきた、宏碁(エイサー)の低価格ノートパソコン(ネットブック)、「Aspire One(アスパイア・ワン)」の受注が一部、コンパルなどに流れたことから、クアンタの第1四半期の出荷台数は前期比30%減の710万台になる見通しだ。ただ、春節後は顧客から在庫補充のための緊急発注が相次いでおり、3月の出荷は通期の半数近い300万台以上が予測されている。
クアンタは4月の業績説明会で、通年の出荷目標を発表する予定だが、アナリストからは前年と同水準との見方が示されている。
エイサーの薄型ネットブックで恩恵か
今年の主力製品とみられる薄型ネットブック市場では、インテルから5~6月に発売が見込まれる新型省電力CULVプラットフォームを搭載した新製品投入に、エイサーが意欲を示している。エイサーは今年、同カテゴリーでの出荷シェアが20%以上に拡大し、ウィストロンやインベンテックが恩恵を受けるとみられる。
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