ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)と聯華電子(UMC)は、現時点で5~6月の設備稼働率40~45%分に当たる受注を確保した。設備業者の予測では、第2四半期の設備稼働率はTSMCが今期の40%から60~65%に、UMCが今期の30%から50~55%に大幅上昇する見通しだ。ファウンドリーで緊急受注効果が顕著にみられることから、第2四半期は半導体業界全体で20~30%の成長が期待できそうだ。23日付経済日報などが報じた。
TSMCの第2四半期分の受注は、携帯電話用チップでクアルコム、聯発科技(メディアテック)、通信用チップでマーベル、瑞昱半導体(リアルテック・セミコンダクター)、グラフィックチップでエヌビディア、スーパーマイクロなどからが、第1四半期と比べて40~100%増えている。第2四半期の設備稼働率は、12インチウエハー工場で80%近い高水準まで回復しそうだ。
UMCの第2四半期分の受注は、傘下の▽メディアテック▽智原科技(ファラデー・テクノロジー)▽盛群半導体(ホルテック・セミコンダクター)▽聯詠科技(ノバテック・マイクロエレクトロニクス)──などからが、ウエハー投入枚数ベースで今期比50%増に上る。また、▽ザイリンクス▽ブロードコム▽インフィニオン──などからも同30~50%増となっている。このほか、テキサス・インスツルメンツ(TI)とエヌビディアからも、昨年末より持続的に受注が増加している。設備業者によると、UMCは第1四半期の設備稼働率が平均30%程度だが、3月に入り50%近くまで急上昇した。
設備や材料調達も回復
両社は、40、45ナノメートル製造プロセスの生産能力向上のため、製造装置世界最大手の米アプライド・マテリアルズや米KLAテンコールへの発注を始めた。また、基板材料のシリコンウエハー調達のため、▽日SUMCO(サムコ)▽米MEMC▽台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス)とSUMCO TECHXIV(サムコ テクシブ)の合弁、台塑勝高科技(フォルモサ・サムコ・テクノロジー)──などへの発注も増やしている。
TSMC、無給休暇取りやめを発表
TSMCは先週20日、昨年12月から従業員に対して実施していた無給休暇を、4月1日から全面的に取りやめると正式に発表した。設備稼働率の低下のため導入した無給休暇は、これまで部署単位で週1日あるいは月5日とされていた。なお、蔡力行執行長(CEO)は従業員向け通知の中で、出張費抑制などの経費削減措置は今後も継続すると強調している。
UMCも同日、無給休暇の段階的な取りやめを表明した。最近の受注の高まりから、5月には完全取りやめとなる可能性が濃厚との見方だ。
半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手、日月光半導体(ASE)や矽品精密工業(SPIL)も、このところ設備稼働率の急激な上昇がみられることから、受注状況に応じた無給休暇の取りやめを検討しているところだ。
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