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DRAM景気回復へ、力晶董事長が宣言


ニュース 電子 作成日:2009年3月26日_記事番号:T00014315

DRAM景気回復へ、力晶董事長が宣言

 
 力晶半導体(PSC)の黄崇仁董事長は25日記者会見を開き、台湾・韓国大手の減産により在庫消化の見通しが立ったことで、DRAM業界の景気が回復に向かうという見通しを示した。そして、これによりDRAM産業再生を目標に政府が設立する台湾記憶体公司(TMC)は、運営構想が見直しを迫られると指摘。力晶はTMCに協力しないと改めて強調するとともに、TMC計画の頓挫も予言した。26日付工商時報などが報じた。
 
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「産業再生という言葉は単なるリップサービスだ」。黄董事長は会見で強い政府批判を繰り返した(25日=中央社)
 
「DRAM業界に春が来た」
 
 黄董事長は業界の見通しについて、「(春の訪れを告げる)ツバメがやって来た」と発言。昨年末時点で10億個に上っていた業界全体の在庫は、台韓大手メーカーの減産を通じて現在8億個まで減少しており、6月にも在庫消化が完了するとした。さらに第3四半期には、月間平均需要8億2,000万個に対し2億4,000万個の供給不足が生じるとしており、今年通年では20億個の不足になるという見通しを語った。

 集邦科技(DRAMエクスチェンジ)によると25日のDRAM価格は過去1カ月で最高の1個0.92米ドル(DDR2、1GB、eTT)となり、この2日間で8%以上の上昇となった。黄董事長は「これまで6米ドルから0.6米ドルまでの急落も、0.5米ドルから8米ドルまでの上昇も経験がある」と語った上で、「3米ドルまで回復すれば力晶、瑞晶電子(レックスチップ・エレクトロニクス)、華亜科技(イノテラ・メモリーズ)に1年で計55億米ドルの資金が流入することになり、政府支援に頼る必要はなくなる」と指摘した。

TMCを嘲笑
 
 TMCは政府が来週にも技術パートナーの決定を発表する見通しとなっているが、黄董事長は「DRAM景気が回復すれば、TMCの構想は必ず見直されるだろう」と話した。また「ひと騒ぎしておしまいにな るかもしれない」と、その将来に疑問を投げ掛けた。

 TMCは他社の既存設備を買収する方針を、尹啓銘経済部長が今月中旬に明らかにしている。しかし黄董事長は「今年下半期以降、生産能力が最も重要になる」と語り、各社が既存設備の確保に努めるとみられるため、TMCによる新たな生産設備購入は困難という見方を示した。その上で、エルピーダと共同で運営しているレックスチップの自社分40%の生産設備について、「TMCに売るわけがない」と断言した。 

 力晶の提携パートナーであるエルピーダは先日、TMCとの提携を最優先の選択する意向を表明したが、黄董事長は「エルピーダが提携の際に最重視するのは生産能力で、生産能力を持たないTMCは条件に合わない」と疑問を呈した。TMCは行政院国家発展基金の拠出金300億台湾元(約862億円)を財源としているが、「これでは華邦電子(ウインボンド・エレクトロニクス)の3万枚の生産能力すら買えない」と指摘し、「生産能力がなければDRAM価格が上昇したところで利益を上げられない。来年第4四半期に量産など、何の話をしているのか」とTMCをあざ笑った。
 
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DRAM再編は業界が自力で

 TMCの技術パートナーについては、エルピーダが優勢という報道がこれまで多くみられている。しかし黄董事長は「マイクロンは非常に政治力を持った会社だ。この戦局から撤退するはずがない」と語り、今後変数が生じることもあり得る指摘した。

 なお、DRAM産業の再編について黄董事長は、「反対ではないが、各社の業務が回復し財務が安定した後、業界が自分たちの手で中長期的に進めることが望ましい」という立場を表明した。
 
【表】