台湾経済研究院(台経院)が26日発表した景気動向調査によると、製造業・サービス業で2月、向こう半年間の景気見通しを楽観視する企業が前月比4.7ポイント増の33.7%となり、悲観視する企業の割合(9.7ポイント減の23.8%)を昨年7月以来7カ月ぶりに上回った。今年に入って中国からを中心に緊急受注がみられ、電子業界や石油化学業界で設備稼働率が上昇していることなどから、域内企業は景気回復に手応えを感じ始めたようだ。27日付工商時報が報じた。
製造業・サービス業に対する景気見通しアンケート調査の回答では、「横ばい」という回答が前月比5.1ポイント上昇の42.5%で最も多かった。「楽観」と「横ばい」を合わせると75%以上に上り、悲観していない企業が大多数を占めていることがうかがえる。
業況と今後半年間の景気見通しを数値化した「製造業営業気候観測指数」は、前月比12.95ポイント上昇の93.46ポイントで、「サービス業営業気候観測指数」は前月比2.35ポイント上昇の93.03ポイントだった。
台経院は、製造業の指数の大幅上昇について、政府による内需拡大を目的とした公共工事の拡大、消費券の配布などや、電子業界の緊急受注などが貢献したと分析した。一方、サービス業の指数が微増にとどまったのは、春節(旧正月)や消費券による商機が終わり、業者にとって楽観材料がなかったためと説明した。その上で、2月の指数は春節の季節要因が大きく影響するため、景気判断は3月の統計結果を待つべきだと慎重な見方を示した。
パネルは4月にフル稼働も
工商時報は、景気回復の兆しとして、石油化学、液晶パネル、DRAM、ファウンドリー業界が活気を取り戻しつつあることを挙げている。
石化業界では、供給量の抑制と需要の回復で、台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス)の設備稼働率が従来の70%から80~90%に、南亜塑膠工業(南亜プラスチック)も80~90%に、中堅メーカーでは90~100%に回復しているという。3月はオファー価格の上昇で、各社20%以上の増収を見込む。
液晶パネル業界では、年初以来の緊急受注効果で、4月分の受注が好調になる見通しだ。友達光電(AUO)、奇美電子(CMO)は4月、第6世代生産ラインでフル稼働に、7.5世代、5世代ラインでも設備稼働率が80%まで回復する見通しだ。
半導体チップのオンライン取引を仲介する集邦科技(DRAMエクスチェンジ)の統計によると、低迷していたDRAM価格は24~26日のわずか3営業日で20%以上値上がりした。
ファウンドリー業界でも緊急受注が増加している。中国やインドなどの新興市場で第3世代(3G)携帯電話の需要が伸び、携帯チップ大手の米クアルコムが急きょ発注を増やしているためだ。これを受け、台湾積体電路製造(TSMC)は第2四半期、12インチウエハー工場の設備稼働率が80%に回復する見通しだ。
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