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奇美電とコンカ、モジュール生産で提携か


ニュース 電子 作成日:2009年3月30日_記事番号:T00014381

奇美電とコンカ、モジュール生産で提携か

  
 液晶パネル大手の奇美電子(CMO)が先週、中国最大手テレビメーカー、康佳集団(コンカ)の国際営業部門、常東総裁の訪問を受け、液晶テレビ向けパネルモジュールの生産に関する提携契約を締結したとの観測が出ている。一方最大手の友達光電(AUO)もTCLと提携について協議中とされ、30日付工商時報は、日韓パネルメーカーとは異なり、強力な自社ブランドや経済規模を備えた地場マーケットを持たない台湾メーカーと、パネル関連技術を持たない中国家電メーカーの提携は、相互補完効果をもたらすと評価している。
 
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「中台提携で日韓に対抗を」
 
 奇美電の何昭陽総経理は、これまで何度も「中台パネル産業の提携を図り、日韓に対抗すべき」との発言を行ってきた。何総経理によると、中国家電メーカーはテレビ製造事業のほか川上の液晶モジュールへも投資を行っており、コンカ、TCL、創維集団(スカイワース)などは既にモジュール生産工場の建設に着手しているという。その上で、中国メーカーはパネルメーカーとの技術および生産能力に関する提携を望んでおり、台湾のパネルメーカーにとっては、提携すれば顧客確保のメリットを期待できると指摘した。 

 コンカは2008年、中国カラーテレビ市場でシェア14%で首位に立ち、液晶テレビではシェア10.8%で3位となった。今年初頭には8億8,600万人民元(約127億円)を投じて液晶モジュール工場を建設すると宣言しており、パネルの後工程モジュール(LCM)のみを生産するライン4本と、LCMと液晶テレビ生産が一体化したラインを4本設置する計画だ。

サプライチェーンに恩恵も
 
 工商時報は、奇美電とコンカ、AUOとTCLの提携観測について、昨年から続く世界金融危機の影響による需要の低迷と、ウォン安に伴う韓国メーカーの輸出競争力増大により、苦境に立たされる台湾パネルメーカーにとっては、顧客の確保という点でメリットが大きいと好感している。

 また台湾パネルメーカーは、中国大陸での展開が他国メーカーと比べて早く、特にLCMでは最も完全な布陣を敷いているという。このためフラットディスプレイ事業への進出をうかがう中国家電メーカーが、台湾メーカーをパートナーとして選択する可能性は高いとみられる。

 同紙はまた、中台の提携は、発光ダイオード(LED)バックライト、ドライバICなど、台湾のパネル関連部品産業にとっても中国での商機を拡大するメリットが大きい「一石二鳥の戦略」と高く評価している。

 なお、市場調査会社、ディスプレイサーチは、今年の中国の液晶テレビ市場は、昨年の1,500万台規模から2,000万台規模に成長すると予測している。
 
【表】