今年12月に実施される県市長選挙(台北、高雄両直轄市を除く)は、現職の周錫瑋県長(国民党)の不人気と、民進党が元県長で昨年の総統選では副総統候補を務めた蘇貞昌氏を立てるという観測から、台北県の動向が現在最も注目を浴びているが、台湾メディアは30日、周県長と蘇氏が争う場合、蘇氏支持(57.2%)が周県長(21.1%)を約36ポイント上回ったという国民党の世論調査を伝えた。これに対し周県長は同日、「党内の一部勢力が故意にでたらめなメディアに流して、わたしを候補から引きずり降ろそうとしている」と指摘。人選をめぐって党内で権力闘争が起きていることをうかがわせた。31日付中国時報が報じた。
周県長は「わたしをつぶせば年末の地方選で良い結果が出ると考えるのは間違いだ」と憤った(30日=中央社)
周県長が自身に不利な民意調査が報道されたことに対する怒りの矛先を国民党指導部に向けたことを受け、呉伯雄同党主席は緊急に会見して「党内にそのような数字はない」と、報道された調査結果は事実ではないと強調した。
また、「調査結果を流した」として名前が挙がった呉敦義同党秘書長は、「流したのはわたしではない」と否定し、「周県長は党の資産であり次期選挙から排除することはあり得ない」と語った。その上で周県長に対し「犯人の心当たりがあれば言ってほしい」と呼び掛けた。
なお、国民党の台北県長立候補者を決める党内予備選挙は、5月4日の公示後、民意調査を経て6月14日に党員による投票が行われ、民意調査と党員投票を7対3の比重で考慮して決定する。