域内DRAM産業の再生を目指し政府主導で設立が進められる台湾記憶体公司(TMC)の宣明智招集人は1日、同社の技術提携パートナーに関して、「エルピーダメモリは既に確定した」と発表した。また、エルピーダと二者択一の候補とされていた米マイクロン・テクノロジーについても、同社が依然強い意欲を見せているとして提携関係を結ぶ方針を示した。TMCは4月中に運営計画が発表される見通しだ。中央社などが1日報じた。
尹経済部長も1日午前、エルピーダとTMCの提携決定を明らかにした。「短期内に業界の生産能力が増すことはない」と改めて語った(1日=中央社)
宣招集人によると、DRAM再生計画について経済部は、「TMCが核心技術を握り、台湾の国際的な競争力を高めること」を特に強く要求した。このため、知的財産権、技術、商標をTMCが掌握してもよいという企業を提携パートナーとすることを念頭に、過去4週間にわたりエルピーダおよびマイクロンと協議を展開。両社ともTMCの理念と計画に強い賛同を示し、同社が競争力と将来性を備えた企業となるとの認識から、積極的な提携意向を示したという。これを受け宣招集人は1日、「2社ともに提携することを望む」と発言した。
マイクロンとの提携は限定的か
DRAM業界再生計画に当たっては尹啓銘経済部長が2月中旬、「エルピーダかマイクロンのいずれか1社をパートナーに選ぶ」と発言していたが、宣招集人は「もともとどちらか一方を選ぼうという考えはなかった」と否定。双方との提携方針を決めた理由については「十分なリソースを保有することはプラスになるため」と語り、「政治的な要因で妥協した」という観測は否定した。
ただ、「エルピーダとの提携は完全・徹底したものになる」と発言したのに対し、南亜科技など既存提携先からの同意が必要なマイクロンについては、提携範囲が限られたものになるという見通しを示した。
上半期中の設立目指す
TMCは運営計画を4月中に発表する予定で、政府からの出資は300億台湾元(約876億円)以内を原則とし、官民折半出資により上半期中に設立させたい考えだ。また今後、製造プロセス開発要員および製品設計要員を400人ずつ招聘(しょうへい)する計画だ。
なお、31日午前中に「エルピーダとは既に意向書を交わした」という報道も流れたが、中央社によると宣招集人は、「TMCが正式に設立された後で意向書を交わす」と発言した。