最近、軍部における官職の売買など汚職事件が相次ぎ、アジア各国・地域の清廉度ランキングで中国よりも下位にランクされたことを受け、馬英九総統は8日、現在の状況に「非常に心を痛めている」と話し、「与野党、職位の高低に関わらず、厳正な調査を速やかに実施し、重大な案件については3カ月以内に報告書を提出するよう司法、行政機関に指示した」と表明した。馬総統は「事件は民進党政権時代に発生したものだが、現政府は責任を回避しない」と語り、汚職体質は前政権のものと暗に強調した。9日付中国時報などが報じた。
険しい表情で声明を読み上げる馬総統(8日=中央社)
政府関係者によると、今回の声明はもともと王郁琦・総統府報道官が読み上げる予定だったが、馬総統は行政と司法当局および市民に「本気さ」を伝えるため、自ら声明を発表することを決めたという。
ただ、皮肉なことに馬総統が汚職撲滅に対する強い姿勢を示した同日、「台湾のペンタゴン」とも呼ばれる衡山指揮所の前指揮官、趙泰祺少将が、軍部の官職売買にかかわったグループから性的な接待を受けていたとの疑いがメディアによって伝えられた。
一方、民進党の立法院党団は馬総統の声明に対し、「綱紀粛正(こうきしゅくせい)の徹底が目的ではなく、政府の無能さから目をそらすためのパフォーマンスである疑いがある」と非難した。