世界2位のガラス基板メーカー、旭硝子が、パネルの需要増を受けて台湾での増産計画を再開する。下半期に新たに第5ガラス溶解炉を稼働させることで、生産能力が2割以上拡大する見通しだ。これに伴いガラス基板価格の下落が予想され、友達光電(AUO)、奇美電子(CMO)など域内パネルメーカーにとっては、赤字縮小にプラスに働きそうだ。19日付経済日報が報じた。
旭硝子は、中部科学工業園区(中科)雲林基地に溶解炉を4基構えている。第5溶解炉の建設計画は、AUO、奇美電が当初、今年から第8.5世代パネル工場の量産に入る計画だったため、ガラス基板が供給不足になるという判断に基づいて進めたもので、昨年8月に着工、今年年初に完成させ、6月から量産という予定だった。
業界関係者は、慎重な社風の旭硝子が、景気の急速な冷え込みから見合わせていた第5溶解炉の設備搬入に踏み切るのは、台湾パネル業界の今後の見通しを楽観視しているためとみている。
パネル業界、需要回復へ
観測によると、AUOは第8.5世代工場で既に試験生産を行い、生産量を順次増やしているところで、群創光電(イノルックス・ディスプレイ)は下半期の需要増を見込み、第6世代工場で生産ラインの拡張を行っている。韓国のLGディスプレイ(LGD)は設備稼働率が順調に上昇していると表明しており、パネル業界の回復基調から、ガラス基板の需要が高まっているようだ。LGDは、これまで溶解炉が相次いで閉鎖されてきたため、ガラス基板は供給不足状態にあると指摘している。
旭硝子、域内シェア拡大へ
市場調査会社、ディスプレイサーチの統計によると、ガラス基板の世界シェアは、米コーニングが56%で旭硝子が約20%、台湾市場のシェアはコーニングが51%で、旭硝子は30%だ。
旭硝子は今後計6基を台湾に設置する考えで、懸命のシェア追い上げを図る。6基が完成すれば総投資額は720億台湾元(約2,100億円)に上り、同社にとって台湾がアジア最大のガラス基板生産拠点となる。
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