馬英九政権発足後の3回目となる中台公式協議(江陳会談)が26日中国・南京で開かれ、▽直航便の定期便化および便数の270便への拡大▽金融機関の相互進出▽重大犯罪および経済犯罪の共同捜査──の3項目で合意した。直航の利便性がさらに改善するとともに、金融面でも中台間の結び付きが加速することになる。27日付経済日報などが報じた。
合意書を取り交わす江丙坤・海基会董事長(左)と陳雲林・海協会会長。もうおなじみの光景になった感がある(26日=中央社)
中台直航便は6月に定期便が実現し、便数は現在の週108便から、定期便とチャーター便合わせて週270便と、2.5倍に拡大する。同時に中国側の新たな発着点として、▽ハルビン▽済南▽合肥▽寧波▽南昌▽貴陽──の6都市が開放される。また、これまで実現していなかった旅客機への貨物搭載も認められることになった。航空業界からは、これらにより利用者の不満が高かった直航便の料金引き下げにつながるという見方が出ている。
台湾元と人民元、決済メカニズム確立へ
金融協力では、金融機関の相互進出に向け、双方の金融当局が共通の管理メカニズムを確立する。台湾元と人民元の第三国の金融機関を通さない決済メカニズムの確立、偽札防止のための協力でも合意した。
今回の金融協力協議は60日後に発効するが、行政院大陸委員会は、締結を予定する金融協力覚書(MOU)の同時発効を目指す考えだ。MOUは銀行や証券会社の中国進出の前提条件で、同時発効によって、進出に要する時間が大幅に短縮するとしている。
現在、台湾銀行業界では、合作金庫銀行や国泰世華銀行など7行が中国に事務所を構えているが、すべて支店に昇格する見通しだ。
なお、中国の銀行の台湾進出について、台湾側は公平の原則の下、事務所設立後満2年を支店昇格の申請条件とする方針だ。
犯罪者50人の引き渡しを要請
犯罪捜査の協力合意によって、台湾から中国に逃亡した刑事・経済犯の引き渡しなどが実現することになった。法務部によると、既に重大犯罪の50人を超える容疑者リストを中国側に提出しており、その中には、▽朱安雄・元高雄市議会議長(20億台湾元の横領で懲役8年半判決)▽陳由豪・元東帝士集団総裁(600億元の背任)──ら名前の知れた指名手配犯も含まれている。
中国資本の台湾投資、2カ月内に実施案
中国資本の台湾投資開放については、台湾側が1~2カ月以内に具体的な実施案を公表することが共同声明の形で発表された。台湾は初期段階で製造業の3割、およびサービス業と公共工事の一部を開放し、ポジティブリスト方式で発表する方針だ。
ECFA、次期協議に盛り込まれず
次回の中台公式協議は、今年後半に台北で「漁業労務の協力」「農産品の検疫」「製品規格とテスト認証での協力」「二重課税の回避」の4項目をテーマに行われることが決まった。注目の中台間の経済協力枠組み協議(ECFA)は盛り込まれなかった。
ECFAは江丙坤・海峡交流基金会(海基会)董事長が中国側の陳雲林・海峡両岸関係協会(海協会)会長との交渉で協議開始を提案したが、陳会長は「このテーマには積極的に対応したいが、研究と準備に一定の時間が必要」と答えるにとどまった。
これについて高孔廉・海基会副董事長は「否定されなかったことが重要だ。双方の事務部門の協議が進展すれば、次回の協議のテーマになる可能性はある」と強調した。
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