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作成日:2009年4月29日_記事番号:T00015035
清掃隊員が懸賞金稼ぎ、ゴミ捨て違反は自作自演
台北市万華区に住む王さん宅へ、同市環境保護局のゴミ収集員2人がやって来たのは、17日午後5時頃だった。収集員は、70歳を過ぎた王さんの母親が違法にゴミを捨てたという証拠があるので、事務所まで出向き説明してほしいと伝えた。
王さんの母は身に覚えがなかったものの、とりあえず出向いた。そこで収集員から「ゴミ袋を持って写真を撮らせれば罰金は1,200台湾元(約3,400円)で済むが、撮らせなければ6,000元だ」とすごまれ、仕方なく写真を撮らせて帰宅した。
王さん宅はマンションで、ゴミはマンションの管理人が一括して処理する。おかしいと思った王さんは、路地に設置されている監視カメラを調べてみることにした。
すると、カメラには収集員による自作自演のヤラセ行為がはっきりと映っていた。収集員はまずいったんゴミを収集し、その後でまた収集済みのゴミ袋を元の場所に戻して写真を撮っていたのだ。
怒った王さんは28日、民進党の台北市議らとともに記者会見を開き、母親が濡れ衣を着せられた過程を公表した。
これについて、呉盛忠環境保護局副局長は、収集員の作業プロセスに問題があったと謝罪。王さんの母親に対する罰金を取り消した。事件を捏造(ねつぞう)した2人の収集員は、同局が処分する見通しだが、文書偽造で1年以上7年以下の罪に問われる可能性も。
一般にゴミ収集車の到着以前にゴミ袋を放置した場合、ゴミ捨て違反として1,200~6,000元の罰金が科せられる。その罰金の3割は、懸賞金として収集員のポケットに入る仕組み。今回のヤラセ事件も、収集員が懸賞金欲しさに自作自演を行ったもののようだ。
黄向羣台北市議によると、ゴミ捨て違反の件数は、2006年の約2,000件から08年には約7,000件へと急増。中でも万華区収集隊は2008年度の検挙懸賞金が100万元を超え、台北市内のトップだったというから、さもありなんか。