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「再選で中国と政治対話も」、馬総統が初の言及


ニュース 政治 作成日:2009年5月11日_記事番号:T00015272

「再選で中国と政治対話も」、馬総統が初の言及

 
 馬英九総統は8日、中台関係について「2012年に再選を果たせた後、切迫的な必要があれば政治的協議に触れる可能性がある」と語った。中国との政治的対話を行う可能性について言及したのは今回が初めてで、経済関係を強化して相互の信頼関係を深めた後、平和協定など政治的枠組みの構築を図る方向性を明示した形だ。

 
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政治対話に初めて言及した馬総統。「後戻りできないほど中台関係を前進させる」ことは、独立派を封殺するという点で馬政権と中国の利害が一致する(8日=中央社)  
 
 馬総統の発言はシンガポール紙の聯合早報とストレート・タイムズのインタビューに対してのもので、軍事的信頼関係の構築についても「現在は経済優先だが、将来は協議の可能性を排除しない」と語った。

 インタビューでの発言が明らかになった後、総統府の王郁?報道官は「『協議の可能性がある』は『必ずする』という意味ではない。現段階では協議のいかなる具体的テーマも決まっていない」と語り、世論の懸念の解消に努めた。  

 馬総統は同日、海峡交流基金会(海基会)を視察した際、「両岸(中台)交流は密接になっており、双方はいくつかの項目については相互に事務機関を置くことを検討してもよいのではないか」という発言も行っている。

 9日府聯合報によると、事務機関設置については公式協議再開後、中国側から3回にわたって提案を受けており、先月南京で開かれた協議でも中国の対台湾窓口機関、海峡両岸関係協会(海協会)の陳雲林会長が、台湾を訪れる中国人観光客の増加に応じて「民間的性格の旅行組織」の設立を提案したという。

 こうした事務機関を置く場合、主権を象徴する「ビザの発給業務」を取り扱うかどうかが焦点になるが、中国側には反対の声もある一方で、「ビザ」は避け「旅行書類の発給」などの用語で代替すればよいという主張もある。

 これについて行政院大陸委員会(陸委会)の劉徳勲副主任委員は「観光やチャーター便などの事務を扱う『総合的事務機構』の設置の可能性を検討している」と認めつつ、ビザの発給まで行う中国側機関の台湾進出は、「スピードが早過ぎる。依然検討すべきことは多く、可能性は高くない」と否定した。

ECFA、タイムスケジュールはなし
 
 馬総統はインタビューで、中台間の経済枠組協力協議(ECFA)について、「切迫感はあるが、タイムスケジュールはない」と語った。現段階で下半期に行われる第4回中台公式協議のテーマに含まれていない理由については、「数千、数万の産品にかかわり他のテーマよりも複雑なためだ。検討に少々時間がかかる」と述べ、一定の時間をかけて取り組む考えを表明した。

「一つの中国」でこそ可能
 
 馬総統が2期目で中台間の政治的協議を行う可能性を示唆したことに対し、独立派寄りの自由時報は9日「政治的協議とは『両岸平和協議』と『軍事的相互信頼メカニズム』を指すとみられるが、ともに合意は『一つの中国』を前提にしてこそ可能で、平和に名を借りた統一へのタイムテーブルに等しい」と強く批判した。その上で、中国は現在台湾に対し「養う」戦略をとっているが、これに「抑える」「殺す」が続くことを忘れてはならないと警鐘を鳴らした。

 馬総統は11日、中国との政治的協議について「平和協定」と説明しつつ、「2期目も必ず行わなければならないわけではない」と述べた上で、「4年であろうと8年であろうと、任期中に統一問題について話し合うことはあり得ない」という従来の立場を繰り返した。

 馬総統の一連の発言の背景には、中台関係の改善と経済交流の進展が世論の支持を受けているという判断の下、政治対話に着手することへの世論の風向きを観測する意図があるとみられる。