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馬総統1年、中台改善で実績


ニュース 政治 作成日:2009年5月18日_記事番号:T00015424

馬総統1年、中台改善で実績

 
 馬英九総統が就任して5月20日で満1年を迎える。18日付経済日報はこの1年の馬総統の施政を振り返り、中台関係の改善を最大の業績に挙げた。昨年の総統選では「633公約(経済成長率6%、1人当たりの国民所得3万米ドル、失業率3%以下)」と「馬上好(すぐに良くなる)」を掲げて当選したものの、この1年は世界金融危機に端を発する深刻な景気低迷に見舞われたため、「任期中の公約実現は非常に困難な挑戦となる」と指摘した。
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17日、台北市就業博覧会に出席した馬総統。「就業状況は好転している」と語り、失業者に努力を続けるよう呼び掛けた(17日=中央社)

 馬総統の重点公約だった中台関係の改善は、▽公式協議の再開▽空海運の直航開通▽中国人観光局に対する台湾観光の開放▽台湾での人民元両替開放▽中国資本による台湾投資開放(6月に実現予定)──などが次々と達成され、財界からは「最も満足できる業績」と高い評価を受けている。

経済低迷で過去最大の財政拡大策

 台湾経済の深刻な低迷を受け、馬政権が経済振興のため過去1年間に行った公債発行および減税額は過去最高の約1兆台湾元(約2兆9,000万円)に上った。しかし、輸出主導型の台湾経済は金融危機による世界的不景気の打撃が大きく、行政院主計処は今年の成長率はマイナス2.97%まで落ち込むと予測している。失業率は3月は6%(主計処統計)に迫り、失業人口が過去最多の63万人に達するなど台湾経済は依然厳しい状況にある。

 経済日報によると、馬総統の「633公約」のうち「失業率3%以下」は任期最終年となる2012年までに、「1人当たりの国民所得3万米ドル」は再選を果たした場合の2期目最終年の2016年を公約としている。そして「経済成長率6%」に関して同紙は、「馬政権の解釈は『平均6%』というものだが、現在の状況からみて今後3年でこの数字を実現するのは相当難しい」とした。
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「重点産業に優先順位を」

 馬政権は2月、これまで電子産業に大きく依存してきた経済構造を見直し、産業の多様化を図るため、▽観光▽医療介護▽バイオテクノロジー▽クリーンエネルギー▽文化創意▽科学的農業(精緻農業)──という6つの産業分野を「重要新興産業」と位置付け、強化を図る方針を示した。ただ、この政策に対し「台湾のような小さな経済体ではリソースが限られており、優先順位を付けて実施すべき」といった批判も挙がっている。

 経済日報は、馬政権の公約のうち8年後を達成目標に定めているものも少なくないと指摘した上で、「しかし、政権交代に対し有権者は既に『免疫』を持っており、1期目残り3年の業績が悪ければ、有権者は馬総統に2期目を与えることはない」と警告した。

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