中国商務部傘下の海峡両岸経貿交流協会(海貿会)は5月31日、初の大型調達団を台湾に派遣する。聯想集団(レノボ)や海爾集団(ハイアール)、康佳集団(コンカ)の大手家電メーカーなど43社で構成され、家電、通信、コンピューター関連の製品を台湾メーカーから調達する。海貿会は第一次調達団による通年の調達額を80億~100億米ドルと見込んでおり、台湾業界からは商機を歓迎する声が上がっている。19日付工商時報が報じた。
中国大型調達団の来台は、中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)の王志剛董事長の要請で実現した。王董事長は4月8日に中国商務部の姜増偉副部長と面会した際に、「家電下郷」や「通信下郷」など内需拡大策に関連して、台湾への調達団派遣を提案。中国側はこれに応諾し4月28日、年内に計3回の派遣を行うと回答した。
第一陣の43社にはこのほかTCL、美的集団(Midea)、長虹電器、海鋭電器、聯想移動(レノボ・モバイル)、北大方正(ファウンダー)、華為技術、中興通訊(ZTE)など、いずれも中国を代表する有名企業が含まれる。6月1日に台北市で、家電下郷の政策および商機に関する説明会の開催を予定している。
TAITRAによると、今回調達対象になるのは、液晶ディスプレイ、テレビ用チップ、コンピューター部品、テレビフレームに使用するプラスチック原料、コンプレッサー、金属部品、化学工業品など。100億米ドルという数字は調達団参加メーカーの試算によるもので、長虹電器が申請した調達額は13億人民元(約183億円)に上る。
中国大手との提携に期待
大型調達団について台湾家電業界からは、「台湾メーカーはほとんど大陸(中国)に生産基地を持っており、今回、台湾で受注を得て大陸で直接出荷できる。両岸(中台)分業の有効なモデルだ」と歓迎の声が上がった。
傘下の瑞智精密がハイアール、TCLにクーラー用コンプレッサーを供給している声宝(サンポ)は、「今後インバータコンプレッサーに中国大手家電メーカーの需要が期待できる」と表明。アモイに液晶テレビ工場を設置している東元電機(TECO)も、「中国テレビ業者との提携は目ざす方向だ」と期待を寄せている。
実際の調達額に関心
なお、大型調達団来台翌日の6月1日には、中国の大手テレビメーカー8社による液晶パネル共同調達のための訪台が決まっていた。ハイアール、TCL、コンカなど、大型調達団と重なる企業が少なくなく、大型調達団の調達予定額はこれと重複して計算されていないのか、実際の調達額はどの程度の規模になるのか、台湾業界の関心を呼んでいる。
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