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作成日:2009年5月21日_記事番号:T00015484
師大キャンパスにアルコール広告、批判続出で撤去

国立台湾師範大学(台北市)のキャンパスに、アルコール類の大型広告が登場したのは4月のこと。図書館ビルやキャンパスの外壁に掲げられた20枚を超える酒造メーカーの大きな垂れ幕広告は、いやでも人目を引いた。
同大が校内にアルコール類の広告を登場させたのは、今回が初めて。これを見た市民からは、「学校は学生に飲酒を勧めるつもりか?」「子どもに悪影響」など批判の声が続出した。
卓俊辰・師範大運動体育学院院長によると、広告を出したのは、今年同大が実行組織となった教育部主催の「全国大専校院運動会」(5月2~6日)の資金繰りのためだという。
運動会の必要経費は約9,000万台湾元(約2億6,000万円)。しかし、教育部から出る補助金はわずか4,000万元に過ぎず、不足分は同大が工面しなければならない。
ところが、同大は台湾大や清華大、交通大などと違い、大手企業やハイテク業界からの寄付金も少なく、台所事情は相当苦しい。この不景気でスポンサー探しも大変だ。
そんな中、やっと見つかったスポンサーが酒造メーカーだったというわけだ。卓院長は「アルコール類も飲食文化を担う一部分。学生に酒を飲んで酔えと勧めているわけではない」と苦しい弁明をした。
教育部は、今後、全国中等学校運動会や全国大専校院運動会などの運動会の実施校は、教育効果も考慮してスポンサーを慎重に選ぶべきだと苦言。キャンパスにアルコール類の広告を出すのは不適切だとして、師範大に広告の早期撤収を求めた。
師範大は当初、スポンサーとの契約があるため、広告を下ろすつもりはないとコメントしていたが、教育部からの批判を受け、スポンサーとの協賛契約を打ち切り。19日深夜、こっそりとキャンパス内の広告を撤収した。
ちなみに、政治大などでは、学生サークルがイベントを行う場合、「タバコ、アルコール類の宣伝や販売などの商業行為は行ってはならない」と明確に規定されているという。