行政院主計処は21日、今年通年の経済成長率予測をマイナス4.25%とし、2月時点の予測マイナス2.97%から大幅に下方修正した。第1四半期が輸出不振からマイナス10.24%と、当初予測のマイナス6.51%を大きく下回る過去最悪の数値となったことを受けたものだ。ただ主計処は、第1四半期が景気の谷底になったという判断で、今後は四半期ごとに改善するという見方を示した。22日付経済日報が報じた。
主計処が今回発表した四半期ごとの経済成長率予測は、▽第2四半期、マイナス8.50%(2月予測マイナス6.85%)▽第3四半期、マイナス2.98%(同マイナス2.67%)▽第4四半期、プラス5.20%(同プラス4.50%)──。石素梅主計長は、第1四半期の成長率の大幅な落ち込みの主因として、世界的な景気の冷え込みで、第1四半期の輸出額が前年同期比36.65%減の405億5,000米ドルまで下落したことを挙げた。
主計処はまた、輸出の落ち込みで、多くの企業が従業員に対して解雇や無給休暇を実施したことで個人所得が減り、個人消費に打撃を与えたと分析した。第1四半期の個人消費は年成長率マイナス1.41%減で、2月予測の0.64%成長には届かなかった。
主計処は今後の見通しについて、世界景気や新型インフルエンザなど不確定要素が多いものの、台湾株式相場の上昇や、中国人観光客による消費が期待でき、個人消費は第2四半期にプラス成長に転じるとしている。
来年に景気回復=経建会陳主委
行政院経済建設委員会(経建会)の陳添枝主任委員は21日、景気の「回復」を経済成長率のプラス成長と定義するならば今年第4四半期となるが、これは比較基準となる昨年同期の数値が良くなかったことも大きく影響しているため、真の意味での回復は来年となるという予測を示した。
また、主計処発表の第1四半期経済成長率は前年同期比で計算しているためマイナス10.24%と悪い数値だが、前期比で計算した場合、わずかマイナス0.37%に過ぎないと指摘した。前期比の経済成長率予測は、▽第2四半期、プラス2.38%▽第3四半期、プラス1.8%▽第4四半期、プラス1.29%──となる。
下半期は中国関連で成長=メリルリンチ
メリルリンチ証券もまた、第1四半期経済成長率が前期比では改善がみられることや、消費券配布で消費者の購入意欲を取り戻したことに加え、下半期以降は中台間の経済規制緩和で輸出や内需の伸びが期待できるとし、第1四半期が景気の谷底となると予測している。
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