台湾で梅雨の季節といえば5~6月。ところが今年5月の平均降雨量はわずか39.4ミリ、平年のわずか21%という少なさで、ここ100年でも4番目の空梅雨だった。
中でも降雨量が最も少なかったのは、最南端の恒春(屏東県)。5月の雨量はわずか2.0ミリ(平年降雨量は167.9ミリ)と、ほとんど降らなかったに等しく、過去100年の最低降雨量を記録した。
恒春と同じく100年来の最低降雨量となったのは台北で、5月はわずか24.7ミリ(同225.6ミリ)。雨がよく降る日月潭でも70.2ミリ(同351.5ミリ)と、1942年以来の最低を記録しており、全土の気象観測センター11カ所のうち7カ所で、観測史上の最低の降雨量となった。
中央気象局の過去100年のデータを見ると、日照りが深刻だった上位20年のうち9年は空梅雨が原因。今年5月は西南気流が非常に弱く、加えて中国から台湾に張り出してきた前線も弱かったことから、雨が少なくなったという。
また、5月は空梅雨のせいで酸性雨が深刻化。雨の酸性度(ph)は、値が少ないほど酸性度が上がるが、例えば東北部における5月のphは、今年1~4月および例年平均よりも低く、悪化傾向が顕著になっている。
有名な観光スポット、陽明山はph3.2(酸性度は酢と同等レベル)、雨の都・基隆はph3.9(トマトジュースと同等レベル)といずれも酸性度が高かった。ちなみに、Ph2の酸性度はレモンと同等レベルだという。
中央大学大気物理所の林能暉教授によると、例年4~6月に中国からやってくる梅雨前線には、華中、華南地方の大気汚染物質が含まれ、台湾上空の浮遊粒子状物質も加わって酸性雨を降らせる。医師によると、酸性雨を大量に浴びた場合、毛髪が抜けるだけでなく、皮膚炎やアレルギー性湿疹、毛のう炎を引き起こすとか。梅雨の季節、外出には雨傘を携帯するのが無難なようだ。