台塑集団(台湾プラスチックグループ)の第6ナフサ分解プラント(通称六軽、雲林県麦寮郷)が1999年に稼働を開始した後、周辺地域の住民の発がん率が高まったという台湾大学工業衛生研究所の報告が明らかになったが、9日付自由時報によると、既に2005年、成大研究発展基金会が周辺地域での発がんリスクが高いとする報告を経済部工業局に対し行っていたことが分かった。このため、政府が情報を隠ぺいしていたのではないかとの疑いが持ち上がっている。
台プラ六軽。8日の雲林県議会では「全面停止を」という要求も出たが、多大な経済的損失が予想され、蘇治芬県長は「その勇気はない」と答弁した(9日=中央社)
台大工業衛生所の詹長権教授がこのほどまとめた調査報告書によると、六軽周辺の麦寮郷および台西郷、東勢郷、崙背郷、四湖郷などの地域では、六軽稼働により揮発性有機化合物(VOCs)の排出が始まって以来、住民の発がん率が顕著に上昇しており、特に台西郷では肝臓がんが30%、がん全体で80%高まった。
情報隠ぺいの疑いに対し工業局は、「確かに当時、健康リスクが比較的高いとする報告を受けたが、決定的な因果関係があると判断できなかったため非公開とした」と説明している。
また台プラは、「健康リスクについては県環保局による検査を何度も受け、合格基準を満たしている」とコメント。同社の麦寮管理所も「がん発生には多くの原因が考えられ、六軽だけを発生要因とするのは偏った見方だ」と指摘した。