ニュース 電子 作成日:2009年6月12日_記事番号:T00015940
ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長は、きょう12日付で総執行長(CEO)に異例の復帰を果たした。2005年7月から総執行長を任されていた蔡力行氏は、新事業部の総経理へ事実上の降格となったが、年初に実施した大量解雇によって、創業22年で初の大規模な労働争議を招いたことが理由と観測されている。78歳と高齢でのCEO復帰に、台湾大手IT(情報技術)企業で多く見られる創業リーダーの後継者選定問題が改めて浮き彫りになった。12日付電子時報などが報じた。
TSMCの張忠謀董事長(左)はこれまで週に一度幹部会議に出席していたが、「毎日出勤してアイデアを練る」と語った。蔡力行新事業部総経理(右)は「将来的には新会社設立の可能性もある」とそれぞれ意欲をみせた(11日=中央社)
張董事長は11日、今回の人事案は自ら董事会に提案したもので、今後、新たにCEOを指名する予定はないと語っている。同社の後継者選出スケジュールは白紙に戻されたようだ。
張董事長は、蔡氏の新事業部総経理就任について、「降格でない」と強調。太陽電池や発光ダイオード(LED)などグリーンエネルギー産業を担う新事業部は今後、成長のけん引役が期待でき、最も優秀な人材に白羽の矢を立てたと説明した。
わずか2人の事業部に
蔡力行氏は12日、TSMCの従業員2万人をまとめる立場から、わずか2人の新事業部へ異動となった。しかし、蔡氏が総執行長を務めた4年弱、TSMCは業績が特別良かったとは言えずとも、自己資本利益率(ROE)は常に20%を超えるなど悪くない数字を残している。
外資系証券会社では、リストラ問題の対応が不十分など、パフォーマンスに何か問題があったためと大方の見方が一致している。一方で、張董事長が新たに後継者を育て上げる時間を考慮すると、蔡新事業部総経理は2~3年後、経営陣に復帰するとの予測も出ている。
なお、10日付蘋果日報は、リストラ問題での蔡氏の「不手際」を指摘している。TSMCに解雇された元従業員らは4月30日の業績説明会で、蔡氏に対し改めて話し合いの席を持つよう呼び掛けた。しかし、蔡氏が拒否したため、元従業員らは張董事長の自宅前で徹夜の抗議活動を実施。この際、張董事長は蔡氏の頭越しに人事担当の幹部らと善後策を協議し、その後、元従業員らに対する復職呼び掛けが行われることになった。
創業者の第一線復帰、海外大手でも
台湾IT産業はこの30~40年急成長したが、大手各社のCEOの高齢化が進み、平均年齢は60歳を超える。ただ世界的な景気低迷の影響は大きく、EMS(電子機器受託生産サービス)世界最大手の鴻海集団、郭台銘董事長が昨年10月、第一線からの引退を撤回したほか、世界でも中国の聯想集団(レノボ)、アップル、デルなど創業者が経営に復帰するケースが多く見受けられる。
グリーン産業参入、売上高20億ドルも
張董事長は11日、グリーンエネルギー産業参入を初めて正式に表明した。太陽電池、LEDなど、創業以来初めての本業のファウンドリー以外への展開となり、新事業部は2018年に売上高20億米ドルをもたらすと大きな期待をかけている。
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