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作成日:2010年1月8日_記事番号:T00020227
18歳息子の台湾一周自転車旅行、心配性の母がバイクで伴走

18歳になったばかりの張博涵君は、昨年夏、高校を卒業し、今は兵役の通知を待つ身だ。張君にはかねてから温めていた夢があった。兵役に就くまでに、自転車で台湾を一周することだ。
シングルマザーの母、林宝環さん(44)は息子の壮大な夢を知り、賛成はしたものの、やはり心配でたまらなかった。息子はこれまで長期間単独で家を離れたことがなかったからだ。林さんは「息子の夢を実現させるためには、自分も付いていくしかない」と決意。以前はゴルフ場で働いていたが、ちょうど失業中だったことも幸いした。
母子は5日、桃園県龍潭の自宅を出発。前を行くのはバイクの母、後ろに自転車の息子が続いた。最初は天候も良く順調だったが、出発3日目の7日、基隆を出発すると急に風が強まり、大雨が降ってきた。気温は10度と冷え込んだが、母子は悪天候の中を励まし合って走り続けた。
ところが、宜蘭へ向かって浜海公路・省道台2線を走行中、突然張君の自転車のタイヤがパンク。3日目にして2回目のパンクだった。近くに修理できる場所もなく、自転車を押して歩き続けるしかなかった。
この時幸いにも、巡回中の台北県警察局瑞芳分局和美派出所の鄭所長が通りかかった。事情を知った鄭所長はこの母子に感動し、二人を派出所へ「連行」した。
というのも、和美派出所には、今年1月1日からサイクリング族のためのサービスエリア、「鉄馬駅站(自転車ステーション)が設置されていたからだ。鄭所長は無料で張君の自転車のパンク修理をした上に、熱いお茶まで振る舞った。
親切な警官に感謝しつつ、母子は派出所を後に。1月末に高雄に到着予定の二人にとって、二人三脚台湾一周の旅は生涯の思い出となるだろう。
しかしこの話題、台湾メディアはいずれも感動物語として伝えているが、日本なら「18歳にもなって母親の付き添いか...」と、やや異なるニュアンスとなった気がしないでもない。