中央大学台湾経済発展研究センター(台経中心)が1日発表した2月の消費者信頼感指数(CCI)は、前月比7.18ポイント上昇の73.16ポイントとなり、4年3カ月ぶりに最高を更新した。CCIを構成する6項目すべてで前月比上昇となり、特に、今後半年間の株式や不動産投資のチャンスに関する項目で高ポイントを記録した。徐之強・同センター主任は「金融危機発生以来、政府が実施した減税措置などの対策が台湾経済の回復を促し、株式や不動産への投資意欲を高めている」と指摘した。2日付蘋果日報が報じた。
上昇幅は「就業機会」が最大
CCIを構成する6項目のうち、最も高い数値となったのは「今後半年間の耐久性消費財(住宅、自動車など)購入のチャンス」で、前月比9.45ポイント上昇の101ポイントと2008年6月以来の100ポイント突破となった。これに続く高ポイントとなったのは「今後半年間の株式投資のチャンス」で、前月比4.2ポイント上昇の99.4ポイントと、2001年の調査開始以来2番目の高さを記録した。 また、前月比で最も上昇幅が大きかったのは「今後半年間の就業機会」で、前月比18.45ポイント上昇の61.95ポイントとなった。
その他項目の数値は、▽家庭の経済状況、67.25ポイント(5.25ポイント上昇)▽台湾の景気、65.65ポイント(3.85ポイント上昇)▽物価水準、43.7ポイント(1.9ポイント上昇)――だった。
ただ、CCI指数は0~100ポイントが「悲観傾向」、100~200ポイントが「楽観傾向」を示すため、「耐久性消費財購入のチャンス」以外は依然、悲観傾向にとどまっている。
同指数は、2月19~22日に市民2,410人に対して行った電話による調査結果から算出したもの。
また香港上海銀行(HSBC、匯豊銀行)も同日、台湾の2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が前月の61.7ポイントを上回り62.5ポイントとなったと発表した。同行は、輸出向け新規受注が急速な成長を見せていると指摘し、今年の台湾の経済成長率を5%とし、行政院主計処予測(4.72%)を上回る楽観見通しを示した。
各業界で景気回復を実感
各産業界からも景気回復を実感する声が聞かれる。不動産業の同業者団体、台北市建商公会の王光祥理事長は、「すべての同業者が購買意欲の回復を感じている」と話し、証券会社主管も「株式取引を行う投資家の数が昨年12月の177万人から今年1月には183万人に増えた」と好感を示した。
このほか太平洋崇光百貨(太平洋そごう)の曹春輝副理は、「今年の春節(旧正月)シーズンの売上高は前年比10%以上の成長となり、消費者の財布のひもが緩んでいることがうかがえる」と指摘。自動車業界でもトヨタ台湾総代理、和泰汽車の楊湘泉・広報経理が「減税措置が打ち切られたにもかかわらず2月も前年比成長を維持したことは、景気の好転が要因といえる」と語った。
金融政策が好転を後押し
ただ、スタンダードチャータード銀行の符銘財・台湾区首席エコノミストは、「このたびの景気好転は、金融危機の影響を抜け出し信頼感が回復したことに加えて、中央銀行の金融緩和政策が後押しした側面が強く、依然ファンダメンタルの回復力には限界がある」と指摘し、今後利上げなどの緊縮政策は取るべきではないとの考えを語った。
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